《推定ながら見時間:70分》
まさか制作から数十年経って続編が作られるとは思っていなかったであろう配給担当者が勢い以外になにもないがとりあえず勢いはある邦題を付けてしまったのが悪いのだが全然ニューヨーク行かない。行くけど10分ぐらいで王国帰ってくる。タイトル詐欺! でもそんなの気にする人とか別にいないだろって思うのでこういう映画は強いですよね(※と書いた後に原題を確認したら『COMING 2 AMERICA』だったので原題が悪い気がしてきた)
こういう映画とはどういう映画かというとアメリカ黒人のアメリカ黒人によるアメリカ黒人のためのB級娯楽映画つまりブラックスプロイテーション映画なのでした。なんかあのクイーンズの黒人コミュニティのセンスのね、下品でどぎつくてバイタリティ溢れるおおらかな下町コメディっていうか。いやそんな映画だったかな前作!? 俺もよくは覚えてないからあれですけど昔は金曜ロードショーとかの定番ラインナップだったしもう少しライトな感じなかったかなと思うんですがまぁでもテレビサイズにカットされてたのかもしれんしな濃い部分は。
俺としては『星の王子ニューヨークへ行く』、マイケル・J・フォックスの『摩天楼はバラ色に』のエディ・マーフィ版みたいなイメージで覚えていたんですが、その『摩天楼はバラ色に』もDVDでちゃんと見直すと爽やか映画というよりは結構ストレートな艶笑コメディだったので記憶なんか頼りにならない。とにかく、一作目がどんな映画であろうがなかろうがこの二作目は下町黒人節全開のブラックスプロイテーション映画です。
ちょっとクイーンズに行く以外はずっとアフリカのどこか設定の王国内で話が進むから『ブラックパンサー』に対する下町黒人目線のアンサーなのかもしれない。アメリカの黒人文化そんな小綺麗で毒気の抜けたシロいもんじゃねぇよオメェがっはっは! 的な。なんかキツいな。なんか知らんけどキツいなそれ。法事で田舎に帰って酒の入った知らんオッサン混じりの親戚オッサン連中に絡まれてる時の気分になれる映画です。
までも面白かったですよそれなりに。前作はアメリカの大都市に異文化圏の人が入っていったら的な『クロコダイル・ダンディー』路線のカルチャーギャップがオモシロの中心だったと思うんですけど今回は王国がメイン舞台なのでそういうこともなく、その点で絵的には少し退屈、展開も盛り上がりに欠くわけですが、代わりに前作で確立したキャラ群の再登板とエディ・マーフィーの話芸、取って付けたようなラップとかダンスとかで見せる。
それも前作の内容をほぼ覚えていない上にブラックカルチャーに明るくない俺にとっては基本的に知らねぇよの連続でしかないが、とはいえ見事アマプラレーティングでR15+を獲得した黒人ジョークの数々にはやはりふふふ笑いである。これは日本の映画館でブラックスプロイテーション映画の文脈を踏まえてない観客と一緒に観たら笑い声が起きなくて結構キツイ感じなると思うので配信でよかったなと思った。っていうか今の若いアメリカ人とかもこれそんなに笑えないだろたぶん。わりと需要が不明な映画だ。
【ママー!これ買ってー!】
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なんでこれが鉄板オモシロ映画枠に入ってるのかよくわかんないんですけどそれを言ったらそもそもジョン・ランディスの映画全般がどう面白いのかわかんないんだよな。スタローンの『オスカー』は面白かったよ。いや別に喧嘩を売ってるわけではないですから本当に『オスカー』はジョン・ランディス映画の中で例外的に面白いと思ったから…。
↓配信/ソフト