都会出ろよ映画『ゴーストバスターズ/アフターライフ』感想文

《推定睡眠時間:30分》

オリジナル版『ゴーストバスターズ』のパロディ的なフラッシュモブっていうか公衆イタズラ動画みたいなのがあって俺はそれが映画以上にすごい好きなんですけどどういうのかっていうとシリーズ一作目の最初にお化けが出てくる図書館に白いシーツを着た連中が何食わぬ顔(見えませんが)で入ってきて本読んだり椅子に座ったりして周囲の人々がなんだこれって顔をしているところに今度はゴーストバスターズ的な服装の男たちがやってきて白いシーツのお化けを追いかけ回して人々爆笑、ゴーストバスターズがお化けを追って外に出ると拍手が巻き起こるという…イイ話でしょ? アメリカだなーって感じだよね。アメリカっていうかニューヨークだなーみたいな。

それで思ったんですけど『ゴーストバスターズ』が多くの人の心を掴んだのってあれがニューヨークの話だからなんじゃないですかね。歴史ある図書館とかホテルとかイエローキャブとかにお化けが出るわけですけどそれってニューヨーカーのあるあるっていうか都市伝説的な楽しみ方ができるところじゃないですか。『ゴーストバスターズ2』とかは下水道がスライムで一杯になったり自由の女神が動き出したり…まぁそれはやりすぎかもしんないですけど、ニューヨークっていう場所はやっぱりアメリカの中でも変化が大きくてその分だけ分厚い歴史もあって、だからどこどこのホテルの何号室にはお化けが出るらしいよなんて噂話はたくさんあると思うんですよ。そういうのって面白い。よく知った場所に実は知らない顔があるかもって考えるとちょっとゾクッとして退屈な日常も少しだけ潤うってなもんです。

だからこの『ゴーストバスターズ アフターライフ』、俺は違うなと思ったな。ジュブナイルホラーとしては良く出来てるかもしれないですけど舞台が田舎なんだもん。なんもわかってねぇなぐらい思うよ俺べつに『ゴーストバスターズ』に思い入れないんですけど。だってお化け出るったって前のシリーズ作に出たお化け連中がまた出るだけで舞台になってる田舎町のお化け話に根ざしたおもしろい造形のお化けとか出てこないんだよ。ミニマシュマロマンとかそんなの土地も何も関係ないじゃんね。怖くもないしさ。俺子供の頃すげーマシュマロマン怖かったよ、でけぇし目の動きがやばいし。でも『アフターライフ』はお飾り程度でも怖い演出はしてない。お化けは怖いものではなくて、ついでに言えば主役でもなくて、主役はお化け軍団に立ち向かう主人公一家とその友達なんだよ。

そういうわけでストーリー的にはオリジナルシリーズ二本の続編でもテイスト的に近いのは『グレムリン』とか『クリッター』みたいなジュブナイル妖怪退治もの(『クリッター』はその範疇ギリですが)かもしれない。あるいは『グーニーズ』とか。『グレムリン』も『クリッター』も『グーニーズ』も面白いけど『ゴーストバスターズ』の続編を見るつもりでそっちを見せられたらうーんってなる。最後はちょっとホロリとできますけどいや別に『ゴーストバスターズ』でホロリしたくねぇし。そういう意味では公開時に全然つまんねぇじゃねぇかとぶーぶー文句を言ったリブート版『ゴーストバスターズ』(2016)の方がシリーズのらしさが出ていたかもしれないなぁと今となれば思う。そんな感じ、俺の『アフターライフ』感想。

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ジュブナイルと都市伝説をうまく融合させた映画といえば『学校の怪談』シリーズ。とくに『2』は基本コミカルだけれども子供心には結構怖いお化けが多く面白かった。

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