《推定睡眠時間:0分》
退役軍人の主人公ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世は難病を患う妻の治療費が工面できず焦っていた。しかたがねぇ、気乗りしねぇがあいつを頼ろう。ヤーヤが向かったのは高級車だのヴィンテージ・カーだのが50台くらい格納されている大邸宅。その主にしてヤーヤが義兄弟の契りを結んだ幼なじみ、そしていまどき約30件もの銀行強盗のかどでFBIに追われているのがジェイク・ギレンホールだ。「よう兄弟! 久しぶりじゃねぇか! 一体なんの用件だ? 強盗の俺を嫌って軍隊に入った正義漢のお前が俺を頼るたぁ只事じゃねぇな」「…あぁ、すまないんだが、3万ドルほど都合して欲しい。実は妻が」「兄弟! 3万だなんてシケたことを言わないでくれ! 300万ドルくれてやる! これから銀行強盗に行こう!」「えっ! いや、シケたこととかそういう問題じゃなくて」「兄弟! なぁ頼む! 俺たちは兄弟じゃねぇか! こいつらとじゃあ銀行強盗はできねぇ…俺が銀行強盗をするにゃお前が必要なんだよ兄弟!」「いやいや」「兄弟! 兄弟!! なぁ兄弟よ!!!」ノリと理屈がおかしいだろあとお前FBIに追われてるわりにはめっちゃ目立つところに暮らしてるな!
というわけで行かなければいいし行ったところでどう銀行強盗計画のプラスになるのかまったくわからないが銀行強盗に同行してしまったヤーヤは成り行きで警官を撃ってしまいジェイクの無計画により現場に駆けつけた救急車をジャック、死にかけの警官を乗せて緊急逃亡を開始するのであったが警察の追撃は予想以上に激しく更にはギャングやらなんやらも巻き込んで当初の予定から大幅にズレる退路なしの戦場カーチェイスに巻き込まれてしまう。どうなるヤーヤ! どうなるジェイク! どうだっていいよとりあえず爆破して車転がしとけ!
この映画はリメイクだそうでオリジナルのデンマーク映画『25ミニッツ』を検索してみたら上映時間が77分、そりゃそうだよなと笑ってしまった。そりゃそうだよこんなワンアイディアで137分も作れないよ普通。マイケル・ベイは普通じゃないから作れてしまえたけどそれでもやっぱり多少の中だるみは感じましたからね。 あれかなマイケル・マンの『ヒート』みたいな白昼の市街地銃撃戦も出てくるし『ヒート』とそのリメイク元『メイド・イン・LA』の関係に近いのかな。『ヒート』って三時間くらい上映時間ありますけど『メイド・イン・LA』は展開はほぼ変わらないのに上映時間90分ぐらいしかないんですよね。なんでそんなに増えるんだよ増えるわかめじゃねぇんだからと思いますがオリジナルの展開にたっぷりのエモと火薬をふりかけた結果そうなったわけで『アンビュランス』もまたエモと火薬の塊なのでした。そういえば『アンビュランス』も舞台はLA!
LAというがそんなことあるかよ的な展開が多すぎていくら映画とはいえとても現実の街の出来事とは思えないのでこれはLAというよりマイケル・ベイの法則が支配する架空都市ベイシティの物語と考えるべきだろう。銀行強盗を約三十件もやったFBIのお尋ね者とかいう小学生が考えたみたいな設定、十数台のパトカーが救急車の後を追いヘリにもしっかりと捕捉されているにもかかわらず全然終わらない小学生みたいなご都合主義のカーチェイス、救急車に色をずごく雑に塗れば警察は同じ救急車だとは思わないから警戒線を突破できるという小学生的してやったり感の突破作戦などなど、そんなバカなの連続だがこれはベイシティの出来事です。
『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』の世界にはミニ四駆を学ぶためにわざわざアメリカに留学したのに主人公に最初に倒される噛ませキャラやミニ四駆の素材を開発するために意味もなく山ごもりをしているミニ四駆職人やミニ四駆で世界征服を企む悪のスカウターを付けたミニ四駆博士とその部下でミニ四駆を走行中意図的にコースアウトさせ別のトラックを走るミニ四駆の上にちょうどのタイミングで乗ることでその重量によりミニ四駆を破壊する中学生などが登場しますがこれはすべて架空の街のお話なのでそんなバカなとは思いません。ベイの映画も同じです。
通信簿など爆破してしまいたいタイプの小学生の夢がすべて叶う街ベイシティでマイケル・ベイはミニ四駆の代わりに救急車と特殊ボリカーを超ぶんぶぶーんドカーンぼぼぼぼ! 今回は新オモチャのドローンカメラも手に入れえらい勢いでぐわんぐわんとカメラがもうすげぇどひゃー目が疲れる! 爆破! 銃撃戦! カーチェイス! カークラッシュ! ドローン! あと犬! 壊れるものと動くものがなにもないシーンではジェイクはずっと理不尽にキレまくり! この落ち着きのないADHD的な作劇が天然なのか意図的なのかは判別不能だがベイシティでしかあり得ない高揚感にそんなものどっちでもよくなる。兄弟兄弟と叫ばせておけば血の絆があることになる安易の極みなエモ演出は一周してむしろ神妙、素っ頓狂で幼稚なギャグの空気を読まない突然の挿入はベタを超越して前衛だ。
狂騒カメラワークとマッハ編集は職人芸。どんどんキャラクターが増えていくが新しいキャラが出てくる度に古いキャラはどっかに消える幼児的飽き性。こんな映画は面白いとしか言えない。君も、夢と爆破のベイシティに遊びに来ないかい? ベイベイ!
※あとこれエンドロールがびっくりするほどマジ超短い。
【ママー!これ買ってー!】
でも俺は『ヒート』より『メイド・イン・LA』の方が引き締まってて好きなのでオリジナル版を観たらそっちに靡くとおもいます。
こんにちは。
オリジナルはデンマーク映画でしかも80分とは!
久々にシネコンに行きましたが、予告編15分に寝そうでした…
ジェイク・ギレンホールは何でこの仕事受けたんかなぁ…(彼目当ての観客がここに居る!)
ジェイクみたいな演技派がベイ映画に出るっていうのめっちゃ意外ですよね笑
これの前にたしかノルウェー映画とかだったと思いますが「ギルティ」っていう映画のアメリカ版リメイクにジェイク・ギレンホールが主演してて、なんか、本人の中でそういうブーム(?)が来てるのかもしれません
あ、あれも彼でしたね!オリジナル見て満足してたのでスルーしてました。ファン失格(^◇^;)
見てないなら見た方がいいですよ!基本一人芝居なのでジェイク・ギレンホールの幕の内弁当!満腹です!