《推定睡眠時間:10分》
俺にとってはたまにあるとくに感想がない映画なのだったがどうして感想がない映画なのかといえば邦題通りこれは日記のような映画で主人公の小説家志望の人がニューヨークの出版社でアシスタント業務を始めるのだがドラマ的な起伏はなく淡々と脈絡なくこの人が体験する日常的な小エピソードが数珠つなぎにされるってなわけでふーんとかそうかーとか、わりとそんな感じで終わってしまう。
基本的に人間に興味がないのでぶっちゃけお前が何を思おうが誰と会おうがそんなもんどうだっていいんだよなんか面白いことしろよとそこまで言うなら観に行くなよのツッコミを自分で自分に入れつつも思ってしまうわけだが、ただまぁでも色んな顔を知ってる俳優が出てくるのでそれを眺めるのはまぁまぁ楽しかったというのが救い。
主人公(マーガレット・クアリー)の上司はシガニー・ウィーバーでこの人は文芸版のアナ・ウィンターみたいなキャラクター。トレンチコートを羽織ってタバコをくゆらす姿は最高にキマってる。アナ・ウィンターは『プラダを着た悪魔』の鬼上司のモデルでもあるから『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』もちょっと『プラダを着た悪魔』っぽいところがある。あれほど娯楽娯楽してないですけどね。
主人公のお仕事の一つは出版社に届くサリンジャー宛のファンレターの処理なのだが熱心にファンレターを出してくる青年が『17歳の瞳に映る世界』で女子高生とめちゃくちゃヤリたがっていたキモ青年のテオドール・ペルラン。だいぶ印象的な声とフェイスをしているのでこの人これから個性派バイプレーヤーとして伸びるんじゃないか。熱心にファンレターというかお願いの手紙を出してくるもう一人はロマーヌ・デニス、これは『キラー・ジーンズ』の主人公ですねって書かれてもピンと来ない人の方が多そうだがこの人もおぼこフェイスが印象的な俳優さんで一度見たら結構覚える。と言いつつ俺は『ブックスマート』の人と間違えていましたすいません。
ところで俺がふーんとかほー程度の感想しか抱けなかったのはこの映画の編集に依るところが大きい。日記のような映画と書いたがシーンとシーンの間を埋めるドラマ的な繋がりや説明が薄く各シーンが分離されているので、今このシーンで主人公が何をやっているのかとか、なぜそこに主人公がいるのかとか、それがわからない。わからないまま次のシーンに行くのでそれもわからず、小難しく入り組んだストーリーではないのだが何が描かれている物語なのか、今話している会話はどういう意味を持つ会話なのか、といったことが正直言って俺には半分も理解できなかった。
日記スタイルといえばそうなのかもしれないが単純にストーリーテリングが下手だとも言える。まぁでも下手とか上手いとかそういう話じゃないんでしょ? 知らないけれども。いいんじゃないすかね。なんかよくわかんなかったけどまぁまぁ面白かったです。
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あえて比べるならですけれども俺はやっぱり『プラダを着た悪魔』みたいな職人芸の映画とかが好きです。