飲めない人の映画『ソウル・オブ・ワイン』感想文

《推定睡眠時間:25分》

これ観に行ったら予告編でまた別のワインのドキュメンタリー映画みたいなのが流れててなんでそんなにワインばかりと思ったんですけどああそうかそうねボジョレー・ヌーヴォーの季節ってことね。酒飲まないから全然わからんかった。でもこれは別にボジョレー・ヌーヴォーのドキュメンタリーではなくワイン全般のというか、有機農法でワイン作ってる有名ワイナリーの映画です。そう都合良くボジョレーの映画というのもあるもんではないんだろう。

映画の作りとしてはかなりシンプルでワイナリーの日々を点描しつつ間にそこで生産されたワインをテイスティングするソムリエの感想コーナーが入る。有機農法にこだわるワイナリーは耕作にもこだわるようでどんな効果があるのかはわからないが今の時代にあえて馬に耕作具を牽かせて畑を耕していたりするのでちょっと驚く。感想コーナーでは最初に出てきた世界一有名(とテロップが表示される)なソムリエが注がれたワインの匂いを嗅いでうんたらこーたらと感動気味に評しただけでワインを飲まずにコーナーが終わってしまってちょっと面白かった。

もうとっくにお気づきでしょうが俺はワインカルチャーがまったくわからない上に食に対してもとくに関心はなく土日は一日一食+豆乳とかで過ごすオウムの出家信者みたいな食生活を送っている人間なので、とくにソムリエの感想コーナーなんかはその感動を共有できないばかりか心の中で(たかだか飲み物ごときで大袈裟だなぁ)と軽く小馬鹿にしてさえいた。最後の方の感想コーナーに日本人ソムリエだかワイン専門家だか知らないが業界では有名なのかもしれない人が2人出てきて感極まった様子で5分ぐらいダラダラと話すのだが、それを見てもガタガタ言ってないでさっさと飲んじゃえよ面倒くせぇななどと思ってしまう不敬っぷり。

じゃあなんで観に行ったかってお仕事系のドキュメンタリーは好きなのでそういうのを期待したわけです。まぁ一通り…かどうかは微妙なところだが高名なワイナリーではこんなことやってますよの大体は見せてくれたものの、どうも雰囲気先行で取材の深度が浅く思えたし、そのくせ決定的なショットは多くない。ワイン好きな人が観ればおそらくは感慨深い場面も多々あるにしても、俺みたいな食生活がオウムで最終的に酢だこさん太郎がいちばん美味いぐらいな食音痴の味覚崩壊者からすれば、あんま大した映画じゃなかったというのが正直なところ。

ワインねぇ。ワインなんかそんなすごいもんすかねぇ。飲んじゃえば豆乳でもファンタでも同じじゃないすかねぇ。俺にはよくわからんがこういう世界がとにかくこの世にはある、と知れたことはよかったですけれどもさ。

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ワインを飲むとしてもぼく別にこういうのでいいです。

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