なんなんだこれは!?映画『No.10』感想文(ネタバレ完全になし)

《推定睡眠時間:80分》

ここまでの大睡眠は睡眠鑑賞史上でも稀にみる異常事態ではないだろうか。なんと上映時間101分中の約80分である。もはや睡眠鑑賞というよりもただの睡眠といった方が正しいかもしれない。加えて、その内容もまったく不可思議である。通常の睡眠鑑賞であれば中程度の睡眠を途中に挟んでいわば前後編的に映画を鑑賞することになるわけだが、これはそうしたオーソドックスな睡眠鑑賞ではなく小程度の睡眠と覚醒を小刻みに繰り返すレム睡眠鑑賞、これ自体は間々あることではあるのだが、覚醒時には比較的意識がはっきりしているにもかかわらず、画面から睡眠導入電波が発せられているとしか思えないほどに強烈な睡魔がすぐさま襲い、いくら目を開けようとしても抗いがたく再び睡眠に落ちてしまうのであった。

しかしながら、この映画の感想として語るべきはそうした特異な睡眠ではなく、睡眠の合間を縫って俺がかろうじて目撃した信じがたい光景の方だろう。なんだ…これは…? その展開はあまりに唐突であった。唐突であったのでエッと思うがその驚きはすぐさま入眠によってかき消された。まるで、それを見られると都合の悪い誰かがスクリーンの裏側に存在しているかのようである。

序盤のお話はなにやら漠然としているがいかにもヨーロッパ映画的(オランダ/ベルギー映画)な道具立てであり予想の範疇を超えるものではなかった。映画は傲慢で使えない老いた舞台役者の日課からはじまるが主人公はこの男ではなく、彼と同じ舞台に立ちこいつから後輩イビリを食らっている40代ぐらいの役者。役者仲間と不倫しているらしい主人公は謎の勢力から監視されていて、というのがこの映画の言える範囲のというか、俺の意識が明瞭であったあたりのあらすじである。チラシの裏にもだいたいそんなことが書いてある。

だが、その後はなんなのだこれは。チラシを読んでもどんな映画なのか要領を得ず謎な映画ということで真相を確かめるべく映画館に飛び込んだわけだが、寝ながら観たら逆にどんな映画だかわからなくなってしまった。それは寝ながら観てるからだろうと思われるかもしれないが…いや、そういうことじゃあないんだよ! そういうことじゃなくて…口外したいが口外すべきではないだろう。こんなインド人(シャマラン)もびっくりの「そんな映画だったの!?」体験はブログごときでネタバレしてこれから観る人のびっくりを台無しにしたくはないし、それに俺にこの衝撃の真実を見せまいとスクリーン裏から睡眠電波を照射していたかもしれない何者かが、俺を監視しているかもしれないのだ。みなさんもくれぐれもこの映画のネタバレには注意していただきたい。さもなくば命が危ういかもしれない。

本当にあえてなのだが、あえて言えばこの映画は『アンブレイカブル』とか『ロブスター』とか『大日本人』なんかと比較的近いかもしれない。真顔で突飛なことをやるシュールなギャグ感覚が似ている。なんか笑ってしまうがギャグなのかどうか真顔なのでよくわかんない感じが似ている。ただ、それも俺が度重なる睡眠の合間に見た光景が事実ならばの話である。序盤のトーンからすれば俺が見たものが現実であるという保証はどこにもなく、もしかすると珍妙な夢を見ていたのかもしれない。覚醒に近いレム睡眠の際には『エルム街の悪夢』のように覚醒時に見ていた光景がシームレスに夢と繋がってしまうことも珍しくない。

はたして俺が見たと思っている異常な光景が本当にこの『No.10』という映画の中に存在するのか、ぜひともみなさんの目で確認していただきたい。そして確認して事実だった場合は、決してその詳細を口外してはならない。謎の勢力に命を狙われるかもしれませんし、そうでなくても映画を観すぎてどうかしてしまった人だと思われてしまうかもしれないですからね…!

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