前々から言われてきたことではあるが最近新聞記事になったことで改めて浮上した「2025年問題」。これはもう大変なことなのだ。大変なことなのだがピンと来ない人もいるだろう。2025年問題とは…ビデオテープが2025年を境に大量死する時代が到来するという白亜紀末期のディープインパクト並の超大問題である!!! VHSテープの寿命は長生きして30年、詳しいことは知らないが聞くところによれば経年劣化により磁気テープが剥離することで再生ができなくなってしまうのだという。
VHSデジタル化急げ…耐用年数20年、ダビング依頼年々増え「月8000本」店舗も(読売新聞オンライン)
VHSの最盛期は1990年頃ということでそこから換算してざっくり2025年がVHSテープのタイムリミット。みんなの家の押し入れに眠っているあんなビデオこんなビデオが来年には…いや、っていうかもう既に観られなくなっているかもしれないのだ。運命とはなんと残酷なことか。日常生活の中では決して見ることのできないような様々な光景を記録したあのビデオテープたちは平均的な人間よりもずっと早く死んでしまう…雨の中の涙のように…やめてくれ!
ともかくこれは一大事だ。たしかに今は配信サイトなどで超たくさんの映画が気軽に観られるようになったし日本ではVHS化もDVD化もされなかった未公開映画が配信で復活した例だってある。それは喜ばしいのでどんどんやってもらいたいが、問題は日本で一度VHS化されたきりで円盤化されなかった映画であるとか、テレビ放送しかしなかった映画やドラマを録画したVHSである。これは輸入盤なら円盤が手に入ることもあるし海外の配信サイトになら上がっていることもあるが、それもないとなるとVHSの死=そこに記録された映画・ドラマの死ということになってしまう。
むろん世界は広いので大抵の映画やドラマは世界中の誰かはどこかに保存してたりするものだが、みんながみんなそう思ってると「え! 誰も保存してなかったの!?」ということになりかねないので、人任せはやめて各々のビデオコレクターが急ピッチでなんとかして押し入れに眠るビデオたちを救出してやるべきだろう。具体的には、ビデオをデジタル化してDVD-Rに焼くとかHDDに入れるとか、そういう作業を明日、いや、今日の仕事帰りにでもすぐに始めるべきなのだ! ということで録画VHSも含めればまだ家に300本くらいVHSが残っている俺も最近その作業に手遅れかもしれないが着手し始めたので、備忘録も兼ねてその方法をシェアしておこう。
【救助方法①】ビデオキャプチャーケーブルを使う
一般家庭ならこれがおそらくもっとも手軽な方法じゃないだろうか。アマゾンとかで検索するとたくさん出てくるビデオキャプチャーケーブルと呼ばれているものの正体はアラサーならお馴染み赤白黄色のコンポジット出力をUSB出力に変換するやつである。よほどニッチなものでなければ通常ビデオデッキには一般的にAVケーブルなどと呼ばれるコンポジットケーブル(RCAケーブル)かS端子しか出力端子が付いてないので、これを一般的にはRCA入力端子の付いてないPCなんかに取り込むためにはデジタル信号に変換する必要がある。ビデオキャプチャーケーブルはそれを可能にするドリームアイテムなのだ。
映像のクオリティを重視したいならやはりS端子(コンポジットよりも解像度が高い)で接続したいがなくてもコンポジットさえあればPCに映像保存は可能。取り込み用の編集ソフトは基本的にどのビデオキャプチャーケーブルにも付属してると思うが、ビデオキャプチャーケーブルは単にアナログ信号をデジタル信号に変換してUSB出力してるだけで、映像の暗号化とかそういう難しいことはやってないので、実は付属のソフトじゃなくても取り込み(MPEG-2)はできる。付属の編集ソフトで上手く取り込めないとかの場合は他の編集ソフトでまぁ基本的には取り込めるんじゃないだろうか。この付属編集ソフトというのは商品価値を高めるためのオマケで、ビデオキャプチャーケーブルの本体はあくまでもコンポジット→USBコンバーターなわけ。
さてこれを使って取り込みをやってみたところ映像がボケボケなのはともかく結構困る問題発生。映像の下部にノイズが入ってしまうのだ。同じコンポジットケーブルをHDMIコンバーターでモニターに繋げて出力するとそんな事態にはならないし、取り込み用の編集ソフトを変えても変わらなかったので、これはおそらくビデオキャプチャーケーブルの問題。他のケーブルを試せば解消される気もするが、ビデオキャプチャーケーブルは単体では案外売っておらず、俺にとってはいらない編集ソフトが付いて4000円~ぐらいだったので、別の手を考えてみる。
【救助方法②】HDMIキャプチャーデバイスを使う
ゲームの配信とかをやっている人ならHDMIキャプチャーデバイスは普段から使ってるかもしれない。これはそのまんまHDMI出力をUSB出力に変換するものだが、そうすることでPCからモニターにHDMI出力をしつつゲーム機などのHDMI信号をUSB経由でPCに入力できるわけである。上記のノイズ問題を解決するためにこれを使ってみることにした。
やることとしては、まずコンポジットケーブルをHDMIコンバーターに繋いでHDMI出力に変換、そのHDMIケーブルをHDMIキャプチャーに繋げてUSBに変換する。オッカムの剃刀ではないが基本的に配線というのはシンプルであればシンプルであるほどいいと思われるのであんまりやりたくない感じだがまぁ仕方がない、ノイズに腹は代えられないし、先にHDMIに変換してるから映像もなんかキレイになるだろたぶん、知らないが。
実験は成功であった。画面下部の謎ノイズは見事解除、映像もなんかキレイになった気がする。しかし、こうしてビデオを何本かPCに落としているうちに音声がプチプチ途切れたりするという別の問題が発覚してしまった。原因は不明だが発生はランダムのようなので、おそらく別のUSB接続機器と干渉しているのではないか? と考えたりするも、こうなるとPCをダビング専用機としているわけではない以上、問題の解決はちょっと難しい。さてどうしようか(イマココ)
【救出方法③】いっそのこと中古のVHS/DVDレコーダーを買う
それで今考えてるのは、まぁなんだかんだコンバーターを噛ませて無理にデジタル化するよりも、VHS/DVDレコーダーで直接DVD-Rにダビングするのがやっぱいいんじゃないかということ。なにせこれならケーブル出力過程での映像の劣化は生じないし、PCに取り込んだビデオの内容は結局後でDVD-Rに焼くと思うので(HDD一台に保存なんて怖すぎて無理)、だったらダビングとDVD化を一緒にやっちゃえば楽でいい。
問題はVHS/DVDレコーダーなんかとっくに製造終了してるので入手するのに多少苦労するという点だろう。これはあくまでも経験上の話なので実際はどうか知らないが、機構が複雑なためかVHS/DVD一体型のデッキはVHSデッキよりも壊れやすい。それもビデオを入れると電源が落ちるとか強制排出されて再生できないとか致命的な故障が多いので、故障の心配がないA級完動品を求めるとなると、探し出すのも難しければ出費もそこそこかさむ。
まぁハードオフのサイトとか見て動作確認済みの大丈夫そうなやつをダメ元で買ってみるのがいいかもしれない。ハードオフなら保証期間があるはずだし。ネットオークションは100%おすすめしない。これもまた電機屋などでバイトをしていた俺のあくまでも個人的な経験上の話だが、壊れた電子機器をそうと書かず普通にメルカリとかヤフオクでノーリターン出品するやつがめっちゃいる。
【救出方法④】ビデオキャプチャーボードを買う
これは試したことがないが、ビデオキャプチャーケーブルを出してる国内のPCサプライメーカーはビデオキャプチャーボードというのも出してたりして、これはパソコンを噛ませずにキャプチャーボードにmicroSDとかを入れてそこにダビングしたデータを書き込むらしい。今のところ理由は不明だがPCがダビング時の様々なノイズや映像・音声欠落の原因なら、このキャプチャーボードを使うことで安全にダビングすることができるかもしれない。ただし高い。
【まとめ】方法はいろいろある! とりあえず試行錯誤!
まとめといっても俺自身どの方法がいちばんいいか今模索してるところなのでまとめられることなどないのだが、とりあえずまぁビデオを救出する方法はいろいろあるということはわかってもらえたんじゃないかと思う。普通の人にはあんまり関係ないだろうがビデオが死ぬと自分も死ぬビデオコレクターのみなさん! 方法はいろいろありますからどうかビデオを生かし、そして自分も生きてください! いや、最悪あなたは生きてなくてもいいんですけどせめてビデオだけは…ウソウソみんなで生きましょう!
…ところで渋谷TSUTAYAが1000本ぐらい抱えてたVHSってどうなったの?