大味エンタメホラー映画『悪魔と夜ふかし』感想文

《推定睡眠時間:35分》

『悪魔と夜ふかし』だなんてタイトルだしこれを書いてるのは深夜3時と感想の方も夜ふかしをしているわけだが怖くないのは当然としても評判ほど面白くもなかったのでやっぱりネットの感想なんてアテにならないな~ってなもんで夜ふかししてまで書くこともない。今日は寒くてやる気が出ないのでここまで書いたところでもう寝ることとしてこれより下の文章はおそらく翌朝書いたものとなります。みなさんおやすみなさい。ぐー。

おはようございます。ということで感想の続きなんですがこの前置きは果たして必要だったでしょうか。必要ないですね。つまりそういうことですよ! 長い! 前置きが長い! そしてその前置きが面白くない! 『悪魔と夜ふかし』そういう映画だったよ! 時は1970年代、落ち目のテレビタレントが起死回生を狙ってちょっと過激なハロウィン特番を組んだところ生放送のスタジオで惨事が巻き起こり…という設定のファウンドフッテージものだがその設定説明のまぁ長いこと! 最初の15分ぐらいはずっとナレーションでの設定説明だったんじゃないだろうか! それならそれで関係者とか研究者インタビューの体を取るとかして説明をホンモノっぽさの演出とすることもフェイクドキュメンタリーではよくあるわけだがその程度の気の利かせ方もしないのがこの映画である。だから面白くない!

だから、ということもないか。説明が終わった後に偽番組内で起こる様々な怪奇現象も単純に面白くなかった上に展開もだいたい読めるからな…いや、本当にベタで大味で面白くないんだよ。なんでこれが評判になっているのか本当にわからないぐらいで…まぁ大味でベタだから気楽に観られて楽しいっていうのはあるかもしれないけどな。『ヴァチカンのエクソシスト』とかそうでしょ。あれなんてなんも面白いとこないじゃんぐらい思いますけど午後ローで観たら面白いと思うもん。だからこの『悪魔と夜ふかし』も午後ローで観たら面白いと思う。結局、面白いとか面白くないとかっていうのはその映画に何を期待するかで変わってくるいい加減なものなのかもしれないな。午後ローでは大味な映画の方が面白いから。

1970年代前半という時代背景は冒頭で仰々しく説明されるわりには主人公がオカルトサークルに入っていた理由付け程度の意味しかない、ファウンドフッテージと言いつつ合間合間の舞台袖の映像は普通のスタイルで撮影されているのでファウンドフッテージに大事なリアル感と余白が台無し(それどころか終盤になるとカメラが主人公の視点になってしまう)、肝心のホラー演出がこけおどしもいいところ…等々、フェイクドキュメンタリーは好きじゃないからそれほど観ない俺ではあるが、これは最近の日本のフェイクドキュメンタリーホラーに見慣れている人には失笑もののホラーなんじゃないだろうか。日本のフェイクドキュメンタリーホラーが気味悪さを追求しているのに対して『悪魔と夜ふかし』の方はあくまでもエンターテインメント志向という感じなので方向性の違いといえばたしかにそうかもしれないが…。

ただ、アメリカのテレビショーの楽しさがちゃんとあったのは良かった。ちょいちょい主人公の司会者が軽妙なトークでゲストをいじって観覧客を笑わせつつ最後はみなさん盛大な拍手でゲストをお見送りください的なああいうやつ。その楽しい時間が徐々に得体の知れないものに浸食されていって最後は完全崩壊というのは、日本でいったらドリフの番組が途中からどんどん怪奇現象が起こっておかしくなっていって最後は仲本工事以外全員死ぬぐらいな感じだろうか。それはたしかにかなり嫌だな…この映画はスティーヴン・キングが賞賛したというが、往事を知るアメリカ人にとっては格別におそろしいものと見えるのかもしれない。こういう映画にカネを出したのがオーストラリアとアメリカのほかアラブ首長国連邦というのはちょっとイイ話。今後はアラブ首長国連邦のホラーもどんどん作られるといいな。

などなど考えれば笑いあり音楽あり個性的なキャラありミステリーありホラーありということでトータルなエンタメ度はなんだかんだ結構高い映画だったかもしれない。まぁファウンドフッテージとか本気でコワイ映画とかってんじゃなくて気楽にそれこそバラエティ番組でも観る感じにポップコーン片手に観る映画なんじゃないでしょーか。

※こちらはテレビ番組ではなくライブ配信番組だが、放送中に本物の悪魔が降臨しちゃったネタの映画として『バトル・インフェルノ』というのもある。見比べて観るのも一興。

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