町の中華料理屋の日替わり定食みたいな映画『フライト・リスク』感想文

《推定睡眠時間:40分》

さっきすごいことを思いついてしまったのでまずはそれを書いておきたいのだがこの映画のタイトルって『フライト・リスク』じゃないですか。フライト・リスク…ふらいとりすく…フライ、とりすく…FLY鳥好く…!!! そんなことを思わず書いてしまうのは頭が回らないからでまったく今年の花粉症は悪質もいいところじゃないかズビズバーとここ数日抗アレルギー剤を飲んでも一向に改善の気配無く鼻水ダラダラなのであったが今日になってふと気付く、これ風邪じゃない…? まぁ急に気温が上がったからね。それで寝てる間に寝相が悪いもんだから無意識に布団取っ払っちゃったりしてたからうーんこれは風邪かもしれない。現に風邪薬飲んだらピタリと鼻水止まった(それは風邪)。というわけで頭が回らないのであった。

まったく映画と関係ない書き出しになってしまったので無理矢理映画に繋げたいと思うがこの映画『フライト・リスク』、まさしくそんなときに家で療養しながら観たい思考不要映画であった。舞台はちっこいチャーター機の中。アラスカに逃げたギャングの金庫番トファー・グレイスをとっ捕まえたFBI捜査官の主人公ミシェル・ドッカリーはこいつに法廷でギャングの悪事を証言してもらうべくマーク・ウォールバーグが操縦するチャーター機でアメリカ本土へと向かう。だが乗員たった3人の機内では次々と予期せぬトラブルが巻き起こる。はたして主人公は無事金庫番を法廷へと送り届けることはできるのだろうか…という、それだけの内容の要するに午後ローでかかるB級サスペンス・アクションである。

〇〇映画にハズレ無しみたいなことは世界人類みんなが好き勝手に言うわけだが俺の〇〇映画はアメリカの護送映画である。ブルース・ウィリス主演の『16ブロック』、豪華スター共演の定番チームアクション『S.W.A.T.』、イーストウッドの現代西部劇『ガントレット』、そしてアメリカ西部劇の金字塔『駅馬車』…護送する対象は悪人でも証人でもなんでもいいわけだがとにかく銃を持った主人公が誰かをA地点からB地点へと護送するアメリカ映画は面白い。やはりアメリカ銃社会。日本でも『藁の楯』という結構面白い護送映画があるが、国土が無駄に広い上に誰が銃を持って襲いかかってくるかわからないアメリカでの護送は緊張感が段違いなわけで、そこに西部劇の伝統も加わるわけだからこれはもうアメリカ映画の十八番ネタなのである。

監督メル・ギブソンの演出手さばきもハリウッド娯楽映画のツボをしっかり押さえつつ無駄を省いた正統派の職人芸、吹雪舞う中アラスカのモーテルで金庫番が不安げな面持ちでカップラーメンをレンジで温めてる(案の定の結果となる)冒頭シーンからしてほんのりユーモアが酢豚の中のパイナップルみたいな感じで緊張感を引き立てていて見事なのだが、主要登場人物なんと3人のほぼ密室劇というさながら『ヒッチハイカー』とか1950年代の超低予算フィルム・ノワールを思わせる道具立てでもこれがしっかり飽きずに面白い。チャーター機に乗せられた金庫番が「こんなちっちゃいの!? プライベートジェットとかじゃないのかよ!?」と愚痴をこぼす場面があるがぶっちゃけ俺も最初はそう思った。しかし実際には的確なショットの積み重ねによるサスペンスの醸成にしてもチャーター機内で使える小道具やシチュエーションを過不足無く使ったジャレッド・ローゼンバーグの脚本にしてもよくできているのだなこれが。とくにユーモアとスリルがコロコロと切り替わるのが良い。緊迫したアクションの最中、突如としてマーク・ウォールバーグがハゲてしまうところはケッサク。え、そこなの!? みたいな。

などと思考の回らない頭で書きながら自分で思う文章の中身のなさ。無駄な修辞を重ねて長ったらしくなっているが感想としてはもうただ一言、普通におもしろかった、それだけでしかない。こんな普通におもしろいだけの映画に対してくどくどと御託を並べてもしょうがないので唐突ではあるがここで感想終わりまーす。まぁあれだよ、中国か台湾の人がやってる町のみすぼらしい中華料理屋で日替わり定食のBを頼んだらめちゃくちゃ美味いわけでもめちゃくちゃ不味いわけでもなくて普通に美味かったっていう、そういう映画が『フライト・リスク』だと思います。

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