午後ロー偽装映画『プロフェッショナル』(2023) 感想文

《推定睡眠時間:70分》

こんなもんもはや観ていないも同然の睡眠量なのだから感想もクソもない気がするが前の感想文が『アマチュア』だからじゃあ『プロフェッショナル』もないと公平じゃないだろということで一応書くがいやそれにしてもね主演リーアム・ニーソンのいつもの午後ロー的B級アクションだろって思うじゃない、こんな邦題とリーアムがいつもの感じで銃持ってるポスター見たら。そしたら映画が始まる前に第何回カンヌ映画祭正式出品作品の文字が出てきちゃって午後ローなのに!? ってなったよな。そして画面に出る原題『IN THE LAND OF SAINTS AND SINNERS』。直訳すれば『聖人と罪人の国で』となろうが主演リーアム・ニーソンの午後ロー映画にしてはちょっと文学的すぎるだろう。

そうなのである。この映画を午後ロー映画として宣伝しているのはあくまでも日本の配給会社の判断であって、実はこれ、爆弾闘争の巻き添えで頃どもを殺してしまったIRAの一部隊と殺し屋(らしいが寝ていたから知らない)リーアムがアイルランドの雄大な原野を背景に暗闘を繰り広げる真面目な作品。設定的にはわりと午後ローっぽい気がするが演出的には硬派であり、アクションというよりもジャンル的にはアイルランド現代史に材を取ったハードボイルドという感じになるだろうか、韓国とかにこういう映画が最近よくある。ステイサムがワルモノをガンガンやっつけていくのでスカッとするビール片手映画『ビーキーパー』みたいなやつではないのだ。ステイサム映画なら近いのは渋くて切ないハードボイルドの『ハミングバード』の方。そうだとしてもカンヌに出すような映画か? という気もしないでもないが。

これで書くべきことはすべて書いた。どうしよう。でも自分ノルマである1000文字のラインを超えてくれない。そうだなぁあとはねあえて言えばアイルランドの風景が荒涼としてるけどキレイ。去年の『イニシェリン島の精霊』でもこのいつも半分曇ってて陽の当たりの悪い陰鬱な風景が登場人物の心象風景と重なって見事な効果を出してましたが、『プロフェッショナル』も復讐してスカッとする映画ではないからこの風景が効いてたんじゃないすかね。IRAも何も人を殺したくて殺してるわけじゃないし子供を巻き込む気だってなかった。でも結果的には殺しちゃったんだからその報いは受けないといけないじゃないかということでリーアムが裁きを下していくが、これは大義と大義のぶつかり合いのようなもので、正義のない闘いなんである。だからリーアムの報復(個人的なものではなく依頼を受けてのことらしいが)を見てもスカッとしない。そういう映画は売りにくいだろうなということでまぁ午後ロー風の宣伝になった理由もなんとなくわかる。アート映画的に売れるほど芸術性があるわけでもないし…ってお前寝てるだろ半分以上! そうでしたすいません。

ちなアイルランドの風景の他に良かったところは終盤の酒場での乱戦。交渉かなんかするつもりだったのが狭い酒場の中で銃撃戦になっちゃっていろんな無関係の人がバシバシと巻き添えを食らうのがドライで良い。アイルランド紛争とはこういうものだった、ということだろう。

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