なんか盛り上がってるな、ホラ、今やってる特殊能力持った人たちが戦う映画。なんとかーズ、みたいなの。
アレさ、俺も観に行ったけど、あんま面白くなかったぜ?
こう、グチグチ言ってるだけでそんなに戦わないし、画が地味だし。
だいたいアメコミの映画化っていうけど、コレ日本が舞台ってどういう…エ! それ『アベンジャーズ』!? 俺が観たのは…『ストレイヤーズ』!?
うわぁ、やっちまったぁ!
いやそんな白々しい猿芝居どうでもいっての。
とにかく『ストレイヤーズ・クロニクル』観てきたんで、原作と比較しつつ感想。
(→原作の感想)
あらすじ
岡田将生は政府の秘密実験で生み出された特殊能力を持ったミュータント。
彼は他の仲良しミュータントたちと徒党を組み、代議士・伊原剛志の私兵部隊として表沙汰に出来ない事件を処理していた。
岡田将生が伊原剛志の言いなりになっているのは理由がある。
ミュータントは人間よりも寿命が短く、二十そこそこで精神が崩壊、死んでしまう。だが伊原剛志は、それを止める鍵を握っているらしいのだ。
というワケで今日も危険なヨゴレ仕事に手を染める岡田将生だったが、そんな彼の前に、染谷将太率いる殺人ミュータント部隊が現れる。
果たして、彼らの目的はいったい…。
面白くないとハナっから否定する
どうでもいいコトから先に書く。
成海璃子が可愛げのないミュータントで出てるが、この人サイコーっす。
いいよね、こう時代にも男にも媚びない感じがね、気品があってさ。
そう、古風なんだよ、ちょっと。カラーよりモノクロのが映えるタイプだ。
正統派の美人映画女優さんって感じで、良いじゃないか。
眉間に皺寄せてるトコなんて美しいぜぇ~。なじってくれ! 俺をなじってくれぇ!
どうでもいいコト書き終わったんで、映画について書く。
特殊能力者のバトルもの! ってコトでアクション面白かったかどうかってハナシになるが、なんか思ってたより全然面白かったぞ。
未来予知、全身硬化、唾液弾(?)飛ばすミュータントとか出てきて戦うんだけど、格闘シーンはわりとキッチリ振付けられてて。
一番良かったのはアレだな、目にも留まらぬ速さで移動できる特殊能力者が二人出てくんだけど、お互いシュッシュッシュって消えては現れてを繰り返すその対決、コレ見物(ハリウッド映画とかと比べてはいけない)
なワケでアクション自体は面白かったんだけど、でもなんつーか、盛り上がんない。
なんでだろと思ったが、どんなアクションやっても基本引きの画だったからかもしんない。
あとさ、コレ原作もそうなんだけど、染谷将太率いる殺人ミュータント部隊ってみんな軽いのね。余裕ぶっこいて軽口叩きながら特殊能力見せびらかして戦って、んで岡田将生側も軽口返す、みたいな。
いやイマドキの若者こんなもんですから、とか言われたらマァそうかもしんないが、そんなワケで戦いの緊迫感とか皆無なのだった。
ワリと、この映画に限らないで最近の邦画ってそんな感じだなと思うが、後半は染谷将太側のミュータントがいかに苦しい思いをしてるか、みたいの延々描く。
ほんで岡田将生側に歩み寄ったりするが、そーゆーの、いる? って思わなくもない。
そら、悪いヤツにも悪いヤツなりの事情ってもんはあるでしょうが、そればっか延々と続いたらつまんないじゃん。
それに、せっかく特殊能力者が戦うんだから、歩み寄ってイイ話にしないで欲しかったナァ。
コレもまた原作通りなんで、一概に映画のせいとかじゃないが、ともあれ盛り上がらないって事実は変わらない。
でも最初の方はわりと面白いんじゃねぇの
なんや悪口になってきたが、しかし最初の40分くらい、結構面白いのだ。
ミュータントたちが各々の特殊能力を披露してくあたり、わぁ、邦画でもこんなコトできるんだなーと無邪気に喜ぶ(俺は)
歯切れの良い編集で、漫画のコマ割りみたいなスプリット・スクリーン使ったり、なんや字幕のフォントとか出し方がダサカッコ良かったりして。
コミック的なんだよね。そのノリが楽しいってワケで。
しかしそうなればこそというか、尚のこと後半のガッカリ度合いマシマシだったりするが。
あとね、やっぱ染谷将太なんですよ。この人は、スゴイ。
他のミュータントと違って戦ったりはしないし、だいたい車椅子乗って無気力にうわ言みたいの呟いてるだけだが、なんやジャンキーみたいな虚ろな視線を突然キっと誰かに合わせる瞬間、恐いんだよなぁ。
殺人ミュータント集団の苛立ちとか憎悪とかを一手に引き受けるって感じで、正直この人がいなかったらミュータント同士の戦いなんてガキに遊びにしか見えない。
緊迫感とか無い映画だが、染谷将太が出てくると急に画が引き締まんのだ。
原作ものってタイヘンだなぁっていう好例みたいな映画なのだった
ところで、原作は文庫本三冊に及ぶわりと長いハナシ。
それぞれの巻でオムニバス的に違う事件が描かれるが、映画じゃ一巻からは冒頭部だけ取ってきて、二巻からは中盤だけ取ってきて、みたいな感じだった。
コレはなんだか、あんま上手くいってない気がする。
三冊合わせると登場人物がやたら多くなって、また人間関係も面倒くさくなるが、その大部分をオミットしたとはいっても、どうも二時間の映画で描くには足りなかった感じなのだ。
原作だとわりあい重要なポジションにいた代議士の石橋蓮司とか完全に形骸化してしまって、なんのために出てくるんだかよくワカラン。で、そういうキャラクターやエピソードは結構多い。
一方で結構設定込み入ってるんで、その説明に大部分費やしてる感もある。
実質原作の三巻を軸にして必要な部分だけ他の巻から取ってきたような感じだが、それだったらもう完全映画独自の解釈で、無理に原作引きずらない方が良かったんじゃないかナァと思う。
つか逆に原作読まないで観たらさ、なんかゴチャゴチャしてるだけでワケワカンネェんじゃねぇのと思うところも多かったぞ。
なんつーかマァ、そんな映画だったナ。
あぁ、あと監督瀬々敬久ですが、この人らしい叙情とか壮大なイメージは面白かったんじゃないすか。
大木が象徴的に出てくるが、なんかこの人の映画よー大木出るな。
(強引に原作には無い原発に関するセリフが出てくるが、脚本の喜安浩平ともどもなんか思うところあったんだろか)
【ママー!これ買ってー!】
原作は三冊あるが、三巻だけ読んでもハナシは分かる。映画化された大部分はココ。
が、いちばん面白くないのは三巻なのだった…。
(二巻が一番面白い)
↓その他のヤツ
ストレイヤーズ・クロニクル ACT-1 (集英社文庫)
ストレイヤーズ・クロニクル ACT-2 (集英社文庫)
ストレイヤーズ・クロニクル DVD
ストレイヤーズ・クロニクル [Amazon プライムビデオ]