『アリスのままで』の感想をアリのままで書く

早々に白状しますが、とても寝た。寝るというか、数分毎にピっと意識が途切れる。とても朦朧とした映画体験である。
しかし別につまんないとかそういうワケじゃないのだ。むしろとても面白かったが、映画館に行くコトは俺の中で寝るコトと同義になっちゃってるワケですよ。
寝たいときは寝る。お腹空いたときはご飯食べる。イヤなコトはイヤって言う。
素直が一番。ありのままが一番です!

無理やり正当化したが、単にマジメに映画観る気が無いだけである。
以下あらすじ。

ジュリアン・ムーアは高名な言語学者。
仕事は順調、長女は結婚、旦那はずっとナイスガイ。次女のクリステン・スチュワートがいつまでも叶いそうも無い夢を追いかけてるコトだけは若干心配だったが、それを除けば何一つ不満の無い幸せな日々を送っていたのだった。
ところが、そんなある日若年性アルツハイマーを発症。
こうしてムーアと家族の闘病生活が始まるのだった…。

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http://www.movpins.com ボンヤリ見てますと、なんかこうジュリアン・ムーアがクリストファー・ウォーケンに見えてきます。

最初はちゃんと起きてたんである。起きてたんであるが、しかしどこから朦朧鑑賞に入ったか、と言われれば答えに窮してしまう。
朧な記憶を辿ってみれば、たしかジュリアン・ムーアのアルツハイマー発症が確認されたぐらいまでは起きてたような…?

それからはボンヤリとカオスである。断続的に睡眠状態に入るが、起きたところでアタマがボー、映像もハナシも全く入ってこない。
したがって三分の二ぐらいは観てると思われるが、そのとき画面の中で何が起きていたのかと問われれば、分からないと言わざるを得ないのだ。
(胸を張って言うコトか?)

そんなワケで次に起きたときには前のシーンを忘れてるんで、心情的には完全にジュリアン・ムーアと同化。
ムーアが娘の顔を忘れるシーンでは、コチラもしっかり娘の顔を忘れている。
家族は必死に悲しみを堪えているように見えるが、しかし俺は…いやムーアは呑気なもんで、誰だろう? この人…と子供のように不思議がるばかり。

アルツハイマーの悲劇とゆーのはなによりも家族にとってなんである、とゆーコトを身をもって知る。
朦朧鑑賞もそれなりに意義があったのだ!(?)

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http://www.movpins.com 確かにジュリアン・ムーアは輝かしい人生を歩んできましたが、しかしそれに固執してもしょうがないじゃないの、というハナシ。

それにしても家族が恐い。
いや別に怒ってムーア殴りつけるとかそんなコトは無いが(と思うが、俺が寝ていたか、忘れてるだけの可能性もある)、ふっと意識を取り戻すと家族がなにやら深刻なハナシをしてる。
例によってなんのハナシかはよく分からん。なにか病院かなんかの名前が出ていたと思われるので、どうもムーアを施設に入れよう、みたいなハナシらしいと想像できるが、ムーアが話しかけても蚊帳の外である。

ムーアが旦那のアレック・ボールドウィンとアイスを食べに行くシーンがある。
ボールドウィンがムーアに何食べたい? って聞いて、でムーアはボールドウィンと同じフレーバー頼むんだけど、「いや、違う。君はいつも○○(忘れた)を頼んでたじゃないか」って言う。

ほんでその後、ボールドウィンが窓の外に見える建物を指差す。
「あの建物を知ってるかい?」
なんだろう? 知らんけど…俺の思ったコトはムーアが代弁してくれたが、ボールドウィン曰く、ムーアの勤務していた大学だそうである。で、ムーアは誰よりも頭が良かったんだよ、と続ける。
言われてみればそんな気もしてくる。たしか、最初の方にそんなシーンあった。
明確には思い出せないが…。

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http://www.blackfilm.com 別に恐い風には撮られてないと思うが、目ぇ覚ましたらいきなりジュリアン・ムーアと距離が出来てたので、なんか恐かったのだ。

ボールドウィンに悪気が無いのは分かるが、しかしそんな風に言われてちょっとは傷つくんじゃないだろか。なにか、今の自分を否定されたような気がして。
いやボールドウィンだけでなく、誰もがアルツハイマー以前のムーア(以後ハツラツ・ムーア)のコトばかり話して、ボンヤリ・ムーアを見るや悲しそうな、それでいて苛立ったような表情を浮かべるばかり。
確かに周りの人間は辛いとは思うのだが、そんな風に扱われたら病気の本人だって辛いだろう。

と思ったが、ボンヤリ眼でアイスを食べるムーアがとくに気にしてないらしいのがせめてもの救いであった。
いやもう、実にホッとした。アルツハイマーの病苦が癒しの力に転化する瞬間だろう、コレは。

いつの間に録画したのか知らんが、ハツラツ・ムーアは未来のボンヤリ・ムーアのためにメッセージを残していたらしい。
PC開いて、ポチっと動画ファイルクリックすると、ハツラツ・ムーアがボンヤリ・ムーアに語りかける。
「○○しなさい、××しなさい…」
で、痛々しい展開になるワケですが、ボンヤリ・ムーアはそれを忘却力で乗り越えんのだった。

http://kstewartnews.com
http://kstewartnews.com 蓮っ葉で反抗期気味のクリステン・スチュワートだったが、いざハツラツ・ムーアがボンヤリ・ムーアと化すと動揺の色を隠しきれない。シュっとした表情に浮かぶ不安がとても良かったなぁ。

病気演じりゃアカデミー獲れんですねぇ、と観る前は皮肉っぽく思ってたが、ジュリアン・ムーアはたしかに名演なのだった。
もう堂々たるボンヤリっぷりだったが、むしろハツラツからボンヤリへの過渡期、必死にハツラツを取り繕う姿なんてマジ痛々しく、イイ。
それにアレだ、すっかりボンヤリになっても時折ハツラツ明晰を取り戻す瞬間があり、そーゆー微妙な感じ、上手いと思う。

アレック・ボールドウィンの抑えた感じもイイよねぇ。
細かいシーンの内容とか忘れてるが、ボンヤリ・ムーアが長女の娘を抱くシーンがある。で長女になんか言われるが(「私の名前分かる?」とかか?)、そんときのボールドウィンって必死に感情抑えてんだけど、今にも泣き出してボンヤリ・ムーア罵倒しそうな感じで、すげー切ない緊張感あんだよ。

そういや次女のクリステン・スチュワート、この人はボンヤリやんわりのムーアに対してやたら尖った、カマキリみたいな顔してるなぁ。
ボンヤリ・ムーアと一緒に画面に収まるとそれだけで親子の断絶を感じさせるが、眉間に皺を寄せながらもボンヤリ・ムーアを徐々に受け入れ、感動的である。

アルツハイマーのハナシだが、長女の出産と次女の自立なんかが平行して描かれ、単に病気映画に留まらない世代交代の、普遍的な家族のハナシでもあった。
で、そこにおいてアルツハイマーは未来への推進力であったり、癒しとして機能するってなワケである。
リアルな病気映画で、アルツハイマー大変ですね忘却大変ですねとゆーのがよく分かるが、それ自体に希望と意義を見出すあたり、とてもイイ映画だと思うぞ。

マァもっかい、今度は寝ずに観たら感想変わるかもしんないが、そういう映画だったんじゃないすかね。
わりと、ハッキリした答えを出そうとしないボンヤリした映画で、なんや重々しかったりするワケでもないんで、病気映画だからと肩肘張らずに適当に観ても全然面白いと思いますよ。
寝ながら観た俺が言うんだから、信憑性あるってもんだろう。
(逆に全く無いとも言えるが)

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