ケヴィン・スミスの前作『レッド・ステイト』(2011)、これビデオスルーだったが面白かったんだよな。
オフビートな福音派ホラー・アクション・コメディでさ、その絶妙に抜けた間とかってのがイイ感じだったんだよ。で、銃撃戦もスプラッターもちゃんとあるし。
もう『クラークス』(1994)みたいのはやらないんだなぁ、スミス真面目な普通の映画監督になっちゃったなぁと思ってたが、そんなワケで『レッド・ステイト』観てからはスミスやるじゃん! バリバリ現役ジャン! と思い直したんであった。
そんなケヴィン・スミスの人間セイウチ化計画映画『Mr.タスクは、見た感じ完全ビデオスルーかと思いきや、『ムカデ人間』(2009)とか『武器人間』(2013)みたいな改造人間映画が流行ってる(?)んでメデタク劇場公開と相成ったのだった。
こーゆーハナシ。
傲慢でバカなネットラジオのパーソナリティ、ジャスティン・ロングが取材のためカナダへ飛ぶ。
そこで彼が出会ったのは、なにやら壮絶な感じの過去を持つ一人の老人、マイケル・パークス。
なんかネタになりそうだぞ、とゆーコトでロングはパークス宅を訪れ、ふんふん、そうですかとハナシを聞く。
するとなんだか、意識が朦朧…そして翌朝ふっと目覚めていると、あらビックリ! なんと監禁されてるではないか!
そしてパークスの口からまさかのコトバが!
「君はセイウチになるんだッ!」
…?
いやそれにしても相変わらずのオフビートっぷりというか、むしろ狙ってる感じをあんま見せないあたり、熟練のオフビートなんであった。
『クラークス』とか『ジェイ&サイレントボブ 帝国への逆襲』(2001)みたいな笑えるオフビートなんざとうに超越、コメディなのにもはや笑える場面とかほぼ無い。
…それダメなんじゃないか? とか言うんじゃない!
笑えないよ? ほぼ笑えないよ!
でもその匙加減がすげーんだよ! すっとぼけ感がすげーんだよ! 怖いと思ったら急にバカになったり、バカかと思ったら急に怖くなったりすんのがすげーんだよ!
でも怖すぎねぇんだよ! バカすぎねぇんだよ! すげー微妙なんだよ!
だから、結局そんなには面白くねぇよ!
…とゆー映画が『Mr.タスク』だったが、ゆーてもなんやかんやで嫌いな感じじゃないのだ(大体スミスの映画なんていつもそんなにオモロない)
やっぱセイウチ人間にグっとくるわけで、意外とエグい見た目と反面のキュートさとコンセプトのバカさの混淆具合にワリと困惑する。
で犯人の老人、『レッド・ステイト』でも武闘派のストレンジ牧師様やってたマイケル・パークスだが、この人は別段悪意があるワケでなく、あくまでセイウチ人間とお友達になるためにセイウチ人間作りに奔走してんのだ。
なのでもう、後半なんてとてもバカバカしいことになる。
セイウチ人間に芸を仕込もうとするパークス、セイウチ人間にエサ(生魚)の食べ方を教えるパークス、セイウチ人間と戯れるパークス…、いかにもホラーっぽい演出と音楽に乗せてセイウチ人間との交流が描かれ、いやもうホントしょーもない。
最終的にパークスとセイウチ人間があーなってこーなってするが、散々微妙だとか笑えないとか書きつつ、そこだけは直球の大バカで大爆笑だったりする。
束の間『クラークス』観てるんじゃないかと錯覚するくらいのバカだが、しかしそのあたり、パークスが秘めたる過去の清算するシーンにもなってたりして、ハナシの上ではワリと悲しい真面目なシーンなのだ。
そーゆートコで最大級のバカをかましてくるケヴィン・スミスは相当ヒネくれてる。でも昔っからそうなんで、なんだかんだ変わらん人である。
そうだ、人を食ったラストシーンがまた…いやホント、ヒネくれてる。
ジャスティン・ロングの相棒がハーレイ・ジョエル・オスメントで、そういえばしばらく見なかったナァと思ったら、いつの間にかキュートで横っ面ブン殴りたくなってくる小ブタになってた。
今のこの人がアニメポスター抱えて秋葉原歩いてんの目撃したら、なんとなくその日一日幸せになれそうである。
ほんで、なんかプロモーションで来日してたんで主役級なのかと思ったが、散々画面に出てくんのに一向にハナシに絡んでこない。
とにかく普通の映画でやりそうな展開は悉くハズしてくる映画なんで、ここでもスミスに一杯食わされた感じ。
『レッド・ステイト』に続いて目が狂い光りしまくりなパークスはやっぱオモロイかったなぁ。
アッチじゃイケイケなヤバさだったが、今度はなんだか哀愁を帯びたヤバさ。
人間セイウチ化計画被験者のジャスティン・ロングを慈しむように見つめるが、なんか目が全然笑ってなくてコワイぞ。
ところでこの映画、超大物スターがまさかの出演! と聞いていて、しかし結局最後まで観ても誰だか分からんかったのだった。
んで、コレが調べてビックリ。
いやぁ、確かに大物でしたわねぇ…『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(2008)のトム・クルーズみたいなもんで。
一目観て誰だか分かったら、アンタはスゴイ。
マァ、なんかそーゆー映画でございました。
あぁあと、コレ実録ものです(エッ!)
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いや『レッド・ステイト』面白いが、やっぱ『クラークス』がいいんだよ、『クラークス』が。
いかにもどうでもいい、コンビニバイトとレンタルビデオ屋のバイトが下らないコトあれこれダベってるだけの映画だけれども、そのダルい空気感がサイコー。
なんかジム・ジャームッシュとかの影響あるんだと思うが、あーゆーインテリジェンスを微塵も感じさせないあたりもスバラシイとしか言いようがないだろ。
それにだいたい、キラキラしたトコも美しいコトもなんもなくて、ただ倦怠とタイクツな遊びに身を任せるだけのしがないバイト青年たちってのがイイ。
現実の青春なんてこんなもんだろーよ。こんな風にしょうもないじゃないのよ。なんや言ったって、アメリカの地方なんてたぶんこんなもんだろ。
やっぱイイ映画だよ、コレは。ホント。
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