これ全然知らんかった。
そんなに映画情報漁ってるワケでもないが、なんか面白い映画ないかなーとチョロチョロ映画サイトとかは見てたりする。
でも完全にノーマーク。タイトルすら聞いたコトない。映画館で初めて知った。
ほんで、まぁサービスデーだしなと思って観たら、観客5人。
やっぱみんな知らない映画なんか。っていうか、知ってても絶対に食指伸びないタイプの映画なんか…。
『ガールズ・ステップ』とかいう映画観てきた。
チアリーダー部のチャラ系女子グループとツルんで、やりたいコトも超楽しいコトも別に無いがそれなりに充実した学園生活を送ってる女子高生が、ひょうんなコトからクラスの除け者のガリ勉、不良、自己中、根暗と共に地域祭りでダンスをやるハメになる。
ダンスなんかやったコトないしなぁ、面倒臭いしなぁ、と最初は気乗りしない彼女たちだったが、次第にダンスの楽しさと自分の本当に気持ち(こんなの書くのも嫌だが)に気付いていくのだった…とゆーハナシです。
なんかさ、あぁ映画面白いっすねと思いますよ、こーゆー映画観ますと。
つーのはさ、ぶっちゃけダメな映画だと思うんだよこんなの。
ダンス部の女子高生役のみなさん、ムラがありますけど総じて紋切り型のぎこちない演技でさ、この人はこーゆー性格、ってトコから一歩も出ない。
それって演出も悪くて、会話してっトコの間の悪さとか見ると、ホントに現場に監督いた? みたいな感じすらある。
脚本もヒドイよ。ダンス部の面々が抱える問題を上手いこと前景化できてないあたりとか、ダンスを通じてどう問題を解決したかが描かれない点は致命的に思えるし、彼女たちの強い絆をいくつかの事件の中で描きながらも、友情を形成してく大事な過程をなおざりにする。
だいたい「分からないよ! ケニーに私の気持ちなんて分からないよ!」とかいうセリフが出てくるような脚本なので、何をか言わんや、ってヤツ。
どうして彼女たちは縁の無いダンスを選んだんだろう?
ダンスを通じて彼女たちの何が変わったんだろう?
そのダンスで何を表現してんの?
そもそもダンス上手くなってんの?
そういうのを、恐らくは脚本に書かれてる部分は演出面でうまく消化できておらず、また見せ場をなるだろうと思われるトコをピックアップできてない。
逆に脚本に書かれない微妙な心情の変化であったり画の面白さは、脚本をただ平坦になぞるばかりの構成と画作りと演技の中で顔を出さない。
映画を構成する諸要素が互いに補ったりするコトなく、むしろ相乗効果でなんも伝わらない映画になってるように思うのだ。
そのクセ上映時間だけはダラダラと長い。
ご当地映画的タイアップの連続に辟易して(これでも町おこし映画じゃないのだ!)、音楽入れるっトコのタイミングと垂れ流し感にうんざりして、肝心のダンスにも全然拘ったりしないあたりの適当さに溜め息が出る。
堕胎、貧困、いじめ…爽やかな映画かと思えば適度に扇情的なトピックを機械的に織り込んで、それでどうせ泣くんだろ、どうせ女子中高生向けの映画なんだからこんなもんだろ、みたいなどこまでも下品で底の浅い作りには怒りすら覚えるくらいだ。
なんなのこの映画? なにが面白いの? バカにしてんの?
サービスデーに観たのに客が俺含めて五人しか入ってなかったが、結局宣伝の多寡の問題だとしても、こんな映画なら当たり前だろうとも思う。
でもさぁ…面白いんだよ。
感動もすんだよ。
こんなダメな映画なのにさぁ…。
だからソコが、映画面白いなぁって思うトコで。
ホントにダメな映画だと思うんだけど、そのダメさがみんな弱さと孤独を抱えた女子高生が慣れないダンスに打ち込む姿に重なって、なんか感慨深い。
そうやって見ますと、ダンス部の面々のぎこちない演技も初々しくて逆にイイんだよなぁ。
主演の石井杏奈とか基本棒読みなんだけど、ダンス部の面々と戯れたりダンスやってるトコはナチュラルに楽しそうにする。
そのギャップの輝き。
演技の振り幅の無さにはむしろ女子高生のリアリティを感じたりもしてしまった。
E-girlsの人らしいからホドホドにダンスできるが、その微妙な上手さが絶妙。
ダンスっついますと、秋月三佳演じるガリ勉が運痴って設定。
地域祭りでダンス部が初めて人前でダンスを披露するシーンがあるが、ソコでのこの人のダンスは南海キャンディーズの静ちゃんばりの凄まじい調子外れ。
こんなの明らかにやり過ぎで、とくにカメラがクロースアップするコトもなく画面の後ろの方で勝手に踊ってんので、演出じゃなくてむしろ演出の行き届かない故の惨事だと思われる。
でもアレだな、コレもさ、その事故っぷりが面白いんだよ。大してカメラに映らないあたりも含めて、なんかグっと来るんだよ。
基本演技できないダンス部の面々を物語の中でも映画的にも支えてんのがダンス講師の塚本高史と顧問の音月桂。
若干浮ついてる感あるが(そのあたりも監督の不在を感じる気がする)、この二人がオトナの芝居をするシーンの安定感たるや無く、女子高生だけじゃ絶対成り立たないだろうと思われる映画をギリギリのトコで成立させてる気がすんのだ。
アッ! 普通にオトナの芝居してる! ってだけでちょっと嬉しくなる映画ってどうなんだと思うが、とまれこの人たちが出てくると観てるコッチはとても安心してしまうので、意図せざる仕掛けだとしてもダンス部の女子高生と同じ目線に立たされてしまう、面白い効果になってんのだった。
地域祭りの控えブースで、ダンス部の面々が緊張にソワソワしてると、そのバックにステージの演目表が映り込む。
そこに書いてあんのが「どんぐり幼稚園 こぶとりじいさん」
ちょっと微妙な気もするが、全体の作りからするとやっぱ意図せざるユーモアに思える(美術部の人が有能だったのかもしんない)
楽しいよね、このヘッポコ感。
そういう、偶然の産物としか思えない、でも面白いトコがいっぱいある。
だからホント撮り方下手だなぁ脚本も下手だなぁと思いつつ、ダンス部が大舞台に上がるクライマックス、やっぱ感動してまったよ。
ダンス部が浜辺で抱き合うシーンなんて堪えようにも涙が堪えきれず…いや別に泣ける映画がイイ映画ってワケでもないだろうけどさ。
いやまぁセコイっちゃセコイ。初々しい女子高生が頑張ってダンス踊ればさぁ、そんなん映画の出来に関わらずグっと来るに決まってんだよ。
主演E-girlsだし、アイドル映画だよ。それも監督も脚本もプロデューサーもそれ以下スタッフもテレビドラマ畑の、いかにもテレビ映画っぽい、そしてとっても安い作りになってる上に、女優さんたちがそんなに魅力的に撮れてないウルトラ雑なアイドル映画だよ、こんなもん。
そこがむしろ映画を魅力的にしてるように思うんで、まぁなんというか、映画はなにが起こるかワカランな。
(念のため再度書いとくが、本当にダメな映画だからな!)
【ママー!これ買ってー!】
『ガールズ・ステップ』がどんな映画とか言うと、『シムソンズ』(2006)ってあったじゃないすか。
女子高生カーリングチームがコーチの大泉洋と一緒に頑張るヤツ。
アレを10倍は安く下手にしたの想像してもらえると分かりやすい。
ハナシとかキャラクターとかほとんど同じ。
いや『シムソンズ』、アレ面白かったすね。王道王道超王道のウェルメイドな映画。
女優さんはみんな超カワイイ。大泉洋は楽しい。それなりに燃えてスカっとする。
よく出来てるなーと思ったんだけど、でもなにか、記憶に残るのは『ガールズ・ステップ』の方なのだった。
うざ