マーベルのスーパーヒーローもの、全然観てねぇな。
にも関わらずこないだアベンジャーズの新しいヤツ観たりしちゃったが、案の定ヒーロー知識ゼロで観てもそこまでオモロない。アイアンマンとかキャプテン・アメリカとかマイティ・ソーとか名前ぐらいしか知らないんで、一同に会したからといって感慨あるかといえばソーでもないしハルクでもない。
だったら予習しとけば良かったじゃんと思うが、なんか上手い事マーベルに乗せられてるみたいで若干の抵抗があるのだった。
なんつーのかね、こーゆーの。プラットフォーム商売っていうか。一匹ポケモン手に入れたら残り全部も集めたくなっちゃうよね商売っていうか。
こーゆー手法だと一本の映画の内容自体はさほど重視されてないように思え、微細な差異を重ねてくだけで無限に新しい映画ができてまう(ボードリヤールだったらシミュラークル映画とでも言うところだ)
んでまた観るコッチも大枠のマーベル世界の中でキャラクターがどう絡むかとか映画同士の関係性でつい観ちゃうので、それセコくね? っていうか映画ってなに? みたいに思うトコあるワケですよ。あぁ上手いな、マーベルやるなと思いつつも。
…まぁ、ホントは流行に乗り遅れて悔しいだけだけどな!
ってなワケでマーベル素人童貞を卒業すべく、新たなるヒーロー映画『アントマン』観てきた。以下あらすじ。
金持ちやら大企業からの泥棒やって服役してた義賊のポール・ラッド。
出所を機に泥棒稼業から足を洗おうとペーペーから働き始めるが、すぐさま服役がバレて解雇されてしまい、更には悪いダチから再び泥棒を持ちかけられてしまう。
俺はもう足を洗ったんだ! それに俺には娘がいる! 妻にも泥棒がバレて離婚されちゃったし、もう娘にイヤな思いさせたくないんだよ!
…と一旦は断るポール・ラッドだったが、元泥棒に世間の風当たりは冷たい。
養育費も払わなきゃいけないしな…ってなワケで結局は泥棒稼業に出戻りと相成る。
それが極小サイズのスーパーヒーロー・アントマンへの道だとは知るよしもなく…。
それにしてもアベンジャーズの面々、誰一人として好きになれない。
みんな自分勝手だし、ユーモア無くて辛気臭ぇし、大体どいつもこいつも浮世離れしすぎである。
永遠の童貞キャプテン・アメリカだけは俺の友達だろうと思っていたが、あまりに童貞期間が長すぎてなにやら達観してしまっていた。
童貞のまま30歳を超えると魔法使いになれるとまことしやかに囁かれる昨今だが、映画の中で立証されたと言えるだろう。
いやそれはどうでもいいが、んな面倒くさい雲の上の人たちなアベンジャーズどもに対してアントマンことポール・ラッドは一介の泥棒なんであった。
そして子持ちであり、離婚して子供の親権を元妻に取られ、たまに子供に会いに行くと元妻の再婚相手に嫌な顔され、社会復帰しようとサーティワンアイスクリームで働けば即座に前科がバレて解雇され、半ば自暴自棄で再び泥棒稼業に復職したところ、なんとアントマンにさせられてしまうのだった。
映画の中ではアベンジャーズ参加も示唆されていたが…アントマン! アントマンよ! お前は俺の友達だよ! これが欲しかったんだよ! この泥臭さが!
政治の世界では庶民感覚との乖離が度々問題にされるが、『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』を観るとアベンジャーズも同様の問題を抱えてるように思えてならない! ここは是非ともアントマンに頑張ってもらいたいところだ! クリーンなアベンジャーズ運営に無所属庶民派のアントマンの存在は欠かせない!
それに、世の中がアベ(ンジャーズ)だアベだと盛り上がってる中で一人乗り遅れてしまった俺としては、アントマンみたいな親しみやすいニューカマーは大歓迎だ!
もし次のアベンジャーズにアントマン出るなら、今度はもう寂しい思いをすることはない!(寂しかったんだよ! 知らないヒーローが勝手に盛り上がってるから!)
金持ちのボンボンが集まる私立アベンジャーズ学園にひょんなことから転校してきた労働者階級の俺に唯一話しかけてきてくれたのがアントマンだよ!
やさしいよアントマン! ありがとうアントマン! いつまでも絶えることなく友達でいようアントマン!
これで俺のアベンジャーズ学園生活も充実するに違いない! ありゃ、映画の感想書く前に終わりみたいになってしまった…。
ほんで『アントマン』なんですが、面白かったなぁ、コレ。
いつものクセでよりによってクライマックスで寝てしまったが(なんでだろうね)、それでも面白かったコトに変わりはない。
ちっちゃくなってアリの巣入って、羽蟻に乗って宙を舞うアントマン。楽しいよね。『ミクロキッズ』(1989)みたい。
リモ昆虫のアリさんが味方っつーのもみみっちくも夢があってイイじゃないか。
アリってのがイイんだ、アリってのが。これがカマキリとかチョウチョとかカブトムシみたいなスター性のある昆虫だったら台無しだ。
次回作では頑張ってゴキブリとかゲジゲジを友達にして欲しい。気持ち悪いから観ないけどな。
ほんで、ノリが良くて友達思いで笑顔がいつも眩しいが、だからといって絶対に信用してはいけない手癖の悪いメキシコ人役でお馴染みのマイケル・ペーニャがアントマンの相棒(って別にそんな役ばっかでもない気がするが、『オブザーブ・アンド・レポート』(2009)のせいで刷り込まれてしまった)
この人がサイコーで、そのおとぼけっぷりと適当さ、全身から漂いまくる生活感になんだかとてもグっとくるもんがある。『アントマン』はマーベルらしからぬオフビートでコミカルな作りだったが、といって浮ついた印象を与えないのはペーニャの存在に依る部分大きいんじゃないかと思う。
っていうかアントマン以上にペーニャをアベンジャーズに引き合わせてみたいが、あまりに適当だからハルクなんぞ怒ってその場で変身してしまうかもしれん。
気まずいだろうなぁ、アベンジャーズとアントマン&ペーニャが飲みに行ったら…。
(コイツ勝手に知らない友達呼ぶから、アイアンマンも激怒だろう)
あとアレ、マイケル・ダグラス博士の娘のエヴァンジェリン・リリー、なんかスゴイ名前だが、この人も良かったなぁ。
まぁ勝気な人で。腕っ節も強くてね、照明当たるとすげーゴリラ顔。そして筋肉質な肉体美。カッコイイんだな、コレが。
この人がマイケル・ダグラスと並んだときの絵面の濃さなんてスーパーヒーローものっていうかマーク・ミラーの映画みたいだが、俺にはそんぐらいがちょうどいい。
なんだよあんな、なにブラックウィドウ? アベンジャーズの紅一点で、スカーレット・ヨハンソンが演じてたヤツ。
色んな意味で絶対に結婚できないアベンジャーズの男どもに姫扱いされてよぉ、悲劇のヒロイン気取ってフェロモン振り撒きやがってよぉ、ざけんなよなぁ?
あんなもんね、エヴァンジェリン・リリーだったらブン殴ってますよ! っていうか俺は次だか次の次だかのアベンジャーズでそれを期待してますよ!
なんだろな、正直アベンジャーズとかどうでも良かったが、アントマンの登場で俄然楽しみになってきたぞ! これからのアベンジャーズ!
アントマン一派が気取り腐ったアベンジャーズどもを引っかき回してくれるのを期待しよう!(そんな風にはならないだろうがね)
まぁしかしアレだな、敵。敵はちょっと弱すぎたな。キャラも含めて。
結構そのあたりのバトルもチョイチョイ笑い交えてやっちゃうし、だいたいサイズちっちゃいじゃん。なんか燃えない感じあるよな。
いや、そこらへん寝てたから文句言えないんだけど、ミニマムならミニマムなりにアントマンのアリさん軍団と悪のゴキブリ軍団との死闘とか、そういうの観たかったなぁ(やってた? やってないよね? もしやってたら謝ります)
でもどうかなぁと思ったのそれぐらいで、総じてイイ映画だった。
なんか、俺ん中でスーパーヒーロー映画って大味で、脚本が粗雑な印象あったんすけど、エドガー・ライトが関わってるからかそのあたりもシッカリしてて。
例えばホラ、移動シーンとか訓練シーンとか、そういうダレそうな部分ちゃんと入れて、映画に緩急つけたりドラマを語ろうとするトコに良心感じるワケです(編集の裁量だろうけど)
ポール・ラッドがアントマンになるまでのハナシとか、アントマンになってどう変わってったかとか、そのあたり地に足の付いたドラマになってる気がするし、敵の本拠地にアントマンが侵入するトコなんかもスパイものとか特殊部隊ものみたいな展開で、あんまスーパーヒーローものっぽくない意外な面白味があった。
アントマン以前のポール・ラッドがマイケル・ダグラス邸に泥棒に入るシーン、その泥棒手法を丁寧に見せる。
『ザ・クラッカー』(1981)みたいっつーか、敵の本拠地侵入シーンも含めて往年のケイパーもの映画のオマージュっぽく見えなくもない。
別にオマージュだろうがなかろうがどうでもいいが、とまれそんな具合にディティールを疎かにしないのは素晴しいと思う。
(スーパーヒーロー映画にしては、かもしんないけど)
あ、やっぱも一個だけ不満なトコあった! アントマンが女の着替えを覗かないトコだ! ちっちゃくなったらまずソレだろ!
いやあるけどね! アントマンがバスルーム入るシーン!
そこにマイケル・ペーニャが入ってきて、パンツ脱ぎ出して…ってふざけんなバカ!
面白いからイイけどな!
あぁイイなぁ、やっぱ『アントマン』はイイなぁ。
ポール・ラッドのしょぼくれ感にもグっとくるしなぁ。やっぱアントマンは友達だよ。こーゆー友達は大事にしたい。
がんばれよアントマン! アベンジャーズに負けるなよ! また会おうぜアントマン!
じゃあな!
…マーベル商法汚ねぇとかさんざん言っといて、見事に乗せられてるな俺…。
【ママー!これ買ってー!】
『ミクロキッズ』、ガキの頃すげー観てたが、コレ原案スチュアート・ゴードン、製作ブライアン・ユズナのエンパイア・コンビなんだよな…。
映画業界は恐ろしい。