いいな、いいな、スヌーピーの映画。こりゃ立派。こりゃ、粋。
なにがって、「分かってんでしょ?」で一貫した態度が立派で粋だ。
知ってるでしょ? スヌーピー。知ってるでしょ? ピーナッツ。じゃあそれでいいじゃん、なのだ。
従って舞台説明人物説明、そんなの無いし、別になにか大仰なストーリーがあるワケでもない。
チャーリー・ブラウン他のキャラクターがなんかウィットに富んだセリフ言ってスヌーピーとウッドストックが走り回る、そんだけ。
それ以上に、なにか要る? たとえば泣きとか、派手な展開とか、お説教とか。
「そんなん求めるヤツはピーナッツの映画なんて観に来ないさ、分からんヤツぁ放っておけ」であり、とにかく頭からケツまで「分かってんでしょ?」
エラそな映画かとゆーと、違う。ピーナッツの映画だからただ単にピーナッツらしいコトをやっただけ。
案外そーゆー思い切った映画とゆーのは貴重なので、この『I LOVE スヌーピー』とゆー映画、こりゃ大事にしたいもんだねぇ。
映画はチャーリー・ブラウンの隣に赤毛の女の子が引っ越してきたトコから始まる。
なんとか女の子とお近づきになりたいチャーリー。でもオレなんてダメだよなぁ…と鬱々。で、色々がんばる。
ピーナッツのアニメとか観たコトないし、だいたいシュルツの原作漫画とか観たコトないんで、原作との比較がどうとか全くわからん。
なんか原作にあったいくつかの有名エピソードくっつけてる風だが、そんなん気にするヤツいなさそうだからどうでもいいか。
スヌーピーって喋らないんだなとか、ウッドストックってチョコマカ動くんだなとか、へぇと思うトコは個人的にあった。
だからどうというコトも別に、無い。
ところで「分かってんでしょ」な映画ではあったが、かようにスヌーピーとか名前ぐらいしか知らん人でも別に問題ない。
ってゆーか元は新聞の4コマなんだから、その映画だって全然知らん人がパっと見て理解できないようじゃダメだろう。
そのあたりが、だからイイ。彼女はペパーミント・パティです、はいこーゆーキャラクターです、それ以上の意味はありません。彼女はマーシーです、はいこーゆーキャラクターです、それ以上の意味はありません。
簡潔にして明快な映画なのだ。
面白かったのは、オトナが絶対に画面に出てこない。
画面外に置かれたオトナが話す言葉は全部「ファファファ~ン」みたいな管楽器っぽい音になる。
オトナの言葉、ってだけ分かればそれでいい。何言ってるかなんてどうでもいい。
う~ん、粋じゃないか!
オープニング。20世紀フォックスのお馴染みのロゴで出たと思ったら、例のファンファーレがピアノになってる。
何かなと思ったら、ピアノ大好き音楽少年シュローダーがファンファーレを弾いてたのだった。
こーゆー遊びは随所にある。エンドロール、チャーリー・ブラウンの仲間たちが一人一人踊ってるトコにクレジットが出るが、フランクリンとかピッグペンとか、キャラクターの名前が出るだけで声優さんの名前は出ない。
洒落てる。すげー洒落てる。ちなみにこのエンドロール、最後の最後までシュルツの原画が出たり後日談が描かれたりして、とても楽しいのだ。
アレだな、そーゆー洒落を楽しむ映画だなぁ。
っていうか洒落でしかないな。オトナの映画。
それでいいじゃない、他にピーナッツになに求めるのさ。
気軽な感じに、適当に観りゃいいじゃん。
サイコーだよ、この映画!
(文・さわだきんたま)
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ルーニーテューンズの徹底した無意味さっちゅーのもまた洒落てていいんよね。
全然ピーナッツと関係ないけどね。
この巻はちなみに、ケッ作揃いで素晴しいっす。
↓その他のヤツ
スヌーピーとチャーリー [DVD]
スヌーピーの50年 世界中が愛したコミック『ピーナッツ』 (朝日文庫)
いつも見てます。文の運びかた、言葉のチョイス、好きです。見てる映画もわりとかぶってます。これからの更新も楽しみです!
>>かこさん
どうもありがとうございます。これからも可能な限り読んでる人の時間の無駄になるような落書きを書いてこうと思います。