奇天烈映画『リザとキツネと恋する死者たち』の感想を困惑しながら書く

ハンガリー映画。変なのばっかのハンガリー映画。コレもやっぱり変だった。
無理やり形容するならジャポネスク・レトロ・ファンタジー・ロマンス・ホラー・コメディとでも言えそうな、なんかよく分かんないキテレツ珍品。
コレ面白かった。

『リザとキツネと恋する死者たち』観てきたんで感想書く。
以下あらすじ。

長年元日本大使妻のババァのお世話をしてるウチににわか日本オタクになってしまったオールドミス(処女)のメイド、リザ。
なーんも楽しいコトないメイド生活を送ってるウチに少しおかしくなったのか、いつからか彼女には謎の日本人歌手トミー谷の亡霊が見えるように。
やがて彼の歌声に誘われるようにリザにまとわりつく男どもが次々とくたばっていくと、リザは確信する。
…これはきっと…キツネ憑き! 私は妖怪になったのよ!
なんでやねん。

いやそれにしてもリザさん、モーニカ・バルシャイって人、めっちゃ可愛いじゃねぇかおい。
日本の恋愛小説に心躍らせ、トミー谷の謎歌謡曲(いや歌謡曲かコレ?)レコードにノって一人踊っちゃう。
マック(ミックバーガーとかいう)でのお食事がなにより楽しみ。ハッピーセットのオモチャを集めて喜ぶ。
運命の人を見つけるためにコスモポリタン誌を買ってきて素直にその通りのコーデするが、そのアラフォー女の無理した若作りファッションがスーパーキュート。
萌えた。完全にババァ萌えした。見ようによってはかなりイタイが…!

イタイ人なんでオバケが見える。オバケのトミー谷さんは歌って踊ってリザさんを励ます。たまに宇宙行ったりもする。
怪しい。デヴィッド・サクライとかゆー日系の人が演じてるらしいが、ライトグリーンのスーツ、ピッチリ固めた髪、片時も手放さないマイク。かなり、魅惑の怪しさ。
片言のニホンゴもとっても味だったりするが、それにしても上映時間の三分の一ぐらいこの人が片言の謎歌謡曲歌い続けてんので、なんか洗脳されます。
コレはサントラ欲しい。カナシイ~と~き~も~♪ ハヴァグッタイム!

はて、映画はリザさんの前に次々と現れる運命(かもしれない)の男を、オレからリザを奪うんじゃねぇよと怒ったトミーさんが呪い殺してくってハナシになる。
そこに無理やり妖怪九尾のキツネ伝説が入ってきて、裸で現れ一言も話さずに捜査に望むフィンランド民謡マニアの刑事が絡んでくる。
舞台はブタペストから北極へ、北極から宇宙へ、更にあの世から謎ニッポンへ…って盛り過ぎだろう。それオモシロ要素盛り過ぎだろう絶対。

こんだけ盛られるとなんやワケ分からんが、まぁ面白いからなんでもいいや。

しかしマァなんつーか、こーゆートンだ設定をだね、そ知らぬ顔でカマしてさ、何事もなかったかのよーにハナシを進めてくと。
そーゆー映画なんですけど、いや人を食った映画だよなぁ、コレ。

中々表現しにくいが、なんかね、こーゆーギャグが頻発する映画なんですよ。リザさんの運命の男候補の人がいて、この人が何故か会社の物入れに引きこもってる。
ほんでこの人、ふとそっから出てくるとスーっとどっか行っちゃう。それを見てた上役が無表情に言う。「困ったものだ。先週は経理のタンスに入っていた」
…コレ、なんも意味がない。ほんでオチとかも別に無い。なんてシュールなギャグなんだと思うが、こんなすっとぼけが低いテンションのままずっと続く。

こーゆーのしかしハマらん人には徹底的にハマらんと思うが、作りこまれた胡散臭いセット、ファンタスティィックCG多用の『アメリ』(2001)的ファンタジーなんで、画的には結構メリハリあったりする。
ジャポネスク・アパート、ブタペストに咲き誇る一面の桜、妖怪キツネと化すリザ、等々。

なんつーんだろな、なんかロイ・アンダーソンとかウェス・アンダーソンの映画みたいにさぁ、トーンが一定じゃないっつーか、シュールなギャグ垂れ流したと思えば急にベタベタのギャグやったり、バカだなぁと思ってたら妙に深刻になったりキレイなシーンになったりして、それにしてもとにかく掴みどころがない。
いやもう面白いは面白かったが、どう面白いか伝えんのがとても難しいので、今も書きながら大いに困惑しとるのです。

ビザールとゆーのもちょっと違うし、Z級とゆーのももっと違うが、作り込んでるようで作り込んでないようでもあり、かといってポップでキュートってだけじゃ済まない感じであり…エキセントリック? なんかそれも違うだろ…。
いやまったく、とにかく変な映画だ…。

リザを連続不審死事件の犯人と見た刑事は何故かリザと同居して捜査を進める。
トミー谷のオバケが棲みつき、アチコチ壊れたボロアパートを刑事は捜査そっちのけで修繕し始める。
どんなにトミー谷の妨害を受けても決して刑事は手を止めない。そしてその傍らで死体は増えていてばかり。
一方リザはどんどんキツネ女と化していって…。

ダメだ! そう書いてもやっぱよく分からん! 筋はごく単純なのに、発想がオカシイんでついてけんよ!
でも最後は爽やか! うん、ちょっとグっときたよ!
「オハヨウゴザイマス」がこんなに響く映画って、そうそう無いだろう!

まぁとにかく、よくわかんねぇけどスーパーキュートなオタク女とダメな人たちが頑張る映画だったよ! もうそーゆーコトにしとこう!
なんか知らんが、面白かったよ!

【ママー!これ買ってー!】


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なんだ『アメリ』風のアレか、と思わせといて欧米流の映画にスッカリ飼いならされたオレをその常識の外から攻撃してきたのが『リザキツ』だったのですが、『アメリ』と思わせといて、いや、やっぱ『アメリ』じゃない。コレは…タイだ! タイでしかありない!
と、タイしてくれたタイ映画が『シチズン・ドッグ』だったのですタイ。
『リザキツ』もかわゆい映画でしたが、コチラ『シチズン・ドッグ』もかわゆいファンシー映画。でもタイ映画だからとにかく人が死にまくる。タイです。

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