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おもしろかったリメイク版『ゴーストバスターズ』はどんな風におもしろいかと言うと俺の中では『ハワード・ザ・ダック』(1986)系統のおもしろさなのですがあんまり人に伝わる気はしない。
ダメだろこれとは思いつつキャラクターは魅力的だしガジェットはいっぱいだしあとUSAの大合唱が聞こえる気がするのでノってしまえば大変盛り上がるとかなんかそういう、そういう感じ。
だから多人数鑑賞とても推奨映画これ。あれだよ『ハワード・ザ・ダック』だってな、どうせな、文句言ってんのぼっちばっかだよみんなで観れば楽しいんだよ!
そんなわけで人と見る映画ですが人で見る映画な気もしたのでバスターズのブレイン、ケイト・マッキノンがまずとてもよい惚れる。なんか『タンクガール』(1995)みたいなのな、あの髪型とかペンキ塗れのツナギ着こなすパンク感覚な。ほんでバイセクシャルっぽくて、そして小脇にプリングルスを抱えながらのお化け探索! この仕事スタイルは真似したいと思ったが、別にそういうキャラクターというわけではなく定番の広告ギャグだった。プリングルス食べたくなっちゃったから成果出てます。
実は正直本当は、言ってしまうがコテコテにアメリカな笑いでぶん殴ってくる映画なので主役格のメリッサ・マッカーシーとクリステン・ウィグのHAHAHAな掛け合いとコメディ芝居が、これがなんか実に出来上がってしまってるのでその分だけそこまでUSAできない俺には辛い感じあった。
なのでバスターズの最後の一人、別に特技とかないしそんなに役に立たないけどとりあえずいて横にいて欲しい人レスリー・ジョーンズ、なんとなくオリジナルに合わせて数合わせ的に配置されてる感じなのですがこの陽気でちょっと面白い風はあるが別に笑いを押し付けてこない存在マジ貴重な癒し。
雑な中華料理屋ネタを都合三度も重ねてくるメリッサ・マッカーシーのドヤ顔にも脳筋ってレベルじゃねぇクリス・ヘムズワースのバカ顔にも俺は疲れたんだよ! それおもしろいけどすごく胃もたれしてくるんだよずっと見てると! このスープ塩分濃すぎるよ!
って感じに段々なっちゃったので序盤でひとしきり喋った後はなんか画面の後ろの方に追いやられたケイト・マッキノンとレスリー・ジョーンズだったのですが結局この人たちばかり見てましたよね。や、こういうポジションの人いちばん大事なんじゃないすかコメディ映画。いちばん笑ったのあそこだもんレスリー・ジョーンズの除霊だもん。
あと人といえばオリジナルメンバーのカメオ出演よかったな。どんな映画にカメオ出演しても扱いが酷いビル・マーレイにやっぱり笑う。
いや俺は夏休みファミリー向け映画だとしてもこのシナリオはダメすぎるだろって思うは思いますけどそれを言ったら別にオリジナルの方も大した話じゃなかった気がするのでそういうのはどうでもいいんですけど、それはさすがにどうなのっていうのがすげぇぞんざいに見える撮影とか編集とかで…いや陰謀論出てくるね陰謀論。これ人間が撮ってるんじゃないですよAIが撮って編集してますよしかもすごい学習意欲のないAIですよディープラーニングしろよお前! みたいな、つまりそれぐらい映像が単調でおもしろくないので余計ほらアメリカ漫才が滑ってるように見えて血反吐出るとかそういうのあって。
だってほら、いくらなんでもこんなに切り返し使わないでも…こんなにバサバサ乱暴に切らないでも…そういうのハリウッド映画の作り方なんですと言われましたらそんなものかという気もするのですが、シナリオ含めてフィルムの連続性があんま考慮されず場当たり的な画の連続になっているので映画一本観たなという感じが無くSNLのコント二時間分見たようなそういう気分になったんすよねなんか…。
オバケとかカッコイイけどな。デカイの今回のオバケ、デカイ。デカイのいいこと。あんなこんなウェポン切り替えつつのオバケ退治もなんかゲームみたいで楽しく…どうせVRが普及すれば映画とゲームは融合していくしそのうちハリウッド映画にプロットは無くなって単にシチュエーションの組み合わせになると思ってるのでこういうのきっと正しいんでしょうけど、でしょうけどぉ! でもぉ!
っていうモヤモヤが各方面からの政治的要求と商品的要求はとりあえず全部飲み込みましたみたいな作り手の節操の無さによって増幅され、やがてビッグゴーストとして形を成して襲い掛かってくるというそういう映画が『ゴーストバスターズ』。
それで別におもしろかったりするのでもうなんでもええっすよ。続編も作って続編も。おねがいします。
(文・さわだきんたま)
【ママー!これ買ってー!】
ビルの隙間からマシュマロマンとか自由の女神がニューヨーク散歩とかそういうオリジナルにあった強い絵がリメイクの方にもあったら良かったのにっていうのはわりとある。