素人が見る『君のまなざし』感想文です(ネタバレ乱れ打ちも後半寝てるため不明)

《推定睡眠時間:30分(主に説法部分)》

主人公ケンタくん(ニュースタープロダクションの新鋭・梅崎快人)の友人アサヒくんの顔つきがGOD隆法によく似ていたので飼い犬は飼い主に似るまたは飼い主は飼い犬に似る理論と同様、信者も教祖に似るのだろうか、それも信仰の強さ故だろうか、あるいは霊のなせる業か!?
などと思っておりましたらこの役者さんは大川宏洋といいGOD隆法の息子でした。私物化! 大川宏洋は更にニュースタープロダクションの代表取締役でもあるので自分のプロダクションで作った映画に自分をキャスティングしてるんである。

役どころは霊界のゲートを開いて地上を鬼と幽鬼(ゾンビ)で満たしてやろうとする道満的な悪のサイキック陰陽師でした。

ところで当たり前のように出てきてしまっているニュースタープロダクションというのは幸福の科学の芸能部門だそうです。へぇ。じゃあ例の千眼美子さんもここ所属になったのかなあと思ったらこちらではなく、『天使にアイム・ファイン』で華々しいデビューを飾った幸福専属アイドル雲母(きらら)さんなどと共にアリ・プロダクション略してアリプロの所属。

幸福の科学の芸能部門は更に分家していたらしいがそんなことよりアリプロって名称ッ! オタクは怒っていいし穿った見方をすればこういうセコくて小さなところから徐々に非信者(特に若者)の拒絶感を取り除いていくというのが幸福の科学のプロパガンダ戦術なんじゃないすかね。
『君のまなざし』のタイトルが『君の名は。』に便乗していないとは誰も信じないだろう。だって公式の略称は「君まな」であったから…(と、ネタにされるところまでがプロパガンダであるから俺もまんまと加担しているんである)

それで『君のまなざし』なのですが、公式サイトからあらすじを引用するとこのようになる。

夏休みに、健太と朝飛とあかりの3人は、長野のペンション「たちばな」で、住み込みのバイトをはじめた。ある夜、不思議な現象に見舞われた健太は、この館に重大な秘密が隠されていたことを知る。真相を探っていく健太とあかり……。そのとき、「霊界の門」が開き、「この世ならざる者たち」が姿を現そうとしていた。
http://kimimana-movie.jp/

それはどこの『センチネル』または『ビヨンド』なんだ。まぁ客寄せのための誇張表現だろうからそんな面白そうな内容なわけもなくヌルいヒューマニズムとスピリチュアルと癒やしとアンチ西洋医学を見せつけられるだけのアレだろとか思ってましたら地獄の井戸からゾンビと鬼が這い出てきましたよ。『センチネル』!または『ビヨンド』!

このペンション実は霊界と地続きになった地獄ペンションであり、陰陽師の血筋を引くオーナーの黒田アーサーが地獄の門が開かぬようガーディアンを務めていたのだった。
霊に取り憑かれた黒田アーサーが身もだえする様子は気持ち『エクソシスト』風だ…取り憑かれたまま2階の窓を破って外に飛び出すからもっと『エクソシスト』風だ…加えて後半はスピリチュアルに時空を飛躍し燃えさかる炎の中で陰陽師チャンバラになり気分はもう『魔界転生』。

完全に70年代オカルトブームに乗っていると思うがそれにしてもなぜ今…? まぁ来世を信ずる幸福の科学的スピリチュアル時空に過去も未来もないんだろうしオカルトブームがスピリチュアルや新宗教の心理的ハードルを下げたという側面はあるだろうから、先祖返りみたいなものなのかもしれない。
先祖の尊重と供養がいかに大切かということは劇中でしつこく教えてくれました。

まぁ前作の『天使にアイム・ファイン』は酷い出来だったし幸福の科学ロッカー・トクマ主演を謳っていたはずの『泥棒にアイム・バッド』は企画が立ち消えになってしまったらしいので中身は推して知るべしですが、今回はちゃんとした(?)ベテランのドラマ演出家さんを監督に迎えているので安いは安いが結構エンタメとして面白く見れる映画になっていましたね。

ゾンビありチャンバラあり幽霊ありサイキックありのネタマシマシ感はなんとなく白石晃士監督の映画みたい。選挙に落ちた代議士候補が外を歩いているとたまたま通りかかった支持者が殴りかかってくるでお馴染みの『天使にアイム・ファイン』同様、信者以外の人はだいたい愚かな悪意の塊でさしたる理由もなく怒号を上げながら主人公に殴りかかってくる(またか)という荒んだ世界観には工藤Dの声が次元を超えてリフレインしてしまう。

この宗教プロパガンダ映画、コワすぎ! あまりに無造作な幽霊描写(幸福の科学基準では幽霊は珍しくないので)は黒沢清の映画を思わせつつも天然ゆえ黒沢清が絶対に到達できないホラー映画の零度を示しさえするのであった…。

いやいや笑うどころではないんだ笑えるほど面白い文章じゃないという事とは関係なく。あんまりやっぱりこういうのがさぁ面白すぎちゃうとさぁ、ねぇ、逆に引くよねぇ。
別に悪いことしてるわけではないですし表現の自由つーもんもありますから作るなとはまったく思いませんがプロパガンダはプロパガンダだしな。面白いプロパガンダほど恐ろしいというのは映画の歴史がよく教えるところであり…。

そんなことを考えながら長い長い長いスペシャルサンクスの付されたスタッフロールの中にGOD隆法が原案と主題歌の作詞のみならず今回は作曲までしていた事実を発見しうひゃひゃうおもしれーと思ってしまったので、たぶん映画がダメっていうか俺がダメなんだとおもいましたねはい。

追記:撮影協力に対する報奨としてスペシャルサンクスに名前が載るというのは信者の人なら名誉なことなんだろうな。そういう些細な部分で手を抜かないマネジメント力が求心力の高さに直結してるんだろうと考えると、キャッチーな見てくれの下にはネタでは済まないしたたかさが確かにあるのだと思える。

【ママー!これ買ってー!】


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ほんとうは別の白石映画のリンク貼ろうとおもったのですがそれはやっぱり信者の人に失礼だろうと思い直しての劇場版コワすぎ! ですのでそこらへん察してほしい。おもしろいよねコワすぎ!

↓その他のヤツ

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