《推定睡眠時間:0分》
“in No hurry to shout”通称イノハリという高校生バンドを中心としたお話だが映画冒頭に渋谷スクランブルのオーロラビジョンに映し出されるイノハリ演奏を見るとメンバー全員眼帯と包帯の口元隠しマフラー的運用で済ませており覆面じゃねぇじゃん。
高校生活の憂鬱を歌ったその曲はまた別らしいが音楽監修および音楽プロデュース(楽曲提供ということ?)はMAN WITH A MISSIONとクレジットされておりノイズじゃねぇじゃん。
三木康一郎という監督の名前は聞き覚えがあった気がしたので『ソラニン』とか『青空エール』の人だろうと目星を付けたがそれ三木孝浩じゃん康一郎じゃねぇじゃん。
じゃねぇじゃん。イノハリのベースかドラムの金髪男子、ずっとオネェ口調だったのに女口説く時だけ急に男口調じゃん。じゃねぇだろうが。
全面的におかしい。『花とゆめ』連載漫画の映画化なのだから出来に関しては対象年齢をかなりさっ引いて判断する必要はあるが可能な限り精神年齢を落として反芻してみてもやはり絶対におかしい。
一体どういうことなのか。演技が拙いとかそういうのは若手の人がいっぱい出ているのだから控除申請可能に思うがリアリティがあるとかないとかそれ以前にギタリストならギタリスト天才なら天才ととりあえずキャラクターにレッテルぐらいしか貼られておらずそれ以上は何も掘り下げないプロット段階にしか見えないシナリオもこれぐらいの単純化が花ゆめ連載の映画化脚色には必要だったんだろうなぁととりあえず肯定的に捉えておくが、一度歌い出すやその歌声を耳にした周囲の誰もが動きを止めてしまう程の才能の持ち主でスランプに悩む作曲男子たちは彼女に触れると曲がスラスラ書けてしまうという正にミューズ的存在である主人公ニノを中条あやみが演じるがあんまりちょっとだけすごく説得力がない特に歌の部分が!
いやうまくないのはいいとしても。それを隠そうとか騙そうとか逆に魅力にしようとか工夫をしないばかりかあんまりうまくない歌をカッとただでさえ大きな目を見開いて熱唱する中条あやみを正面ドアップで堂々としかも繰り返しキメてくるのはもうわからないよね、作り手側のその自信もうよくわからないよね。
一体どういうことなのか。エド・ウッドだって一応隠そうとはするじゃんセットの作り込めてない部分とか。一体どういうことなのか…。
豊洲Pitでのライブ当日、ユズ(志尊淳)らメンバーにも事務所にも連絡を入れず極楽寺らへん在住の幼なじみモモ(小関裕太)宅をあなたの歌は歌えませんの一言を告げるためだけに訪れていたニノが豊洲に急行すべくユズの名を連呼しながら走り出すが走っても豊洲間に合わないだろ。
そこは事務所持ちでタクシーを呼んだらいいしニノという人は小学生の頃に初恋の人と家庭の事情由来の別れを経験して以降かなしみで過呼吸になってしまうのでいつも大きなマスクをしておりこれは歌うと治る心因性の病なのだが医者に行け。
『心が叫びたがってるんだ』とか『Orange オレンジ』とかもそうだが心の病に悩むお前らはまず医者に行け。なんでもかんでも校内と地元の人間関係の中で解決しようとするな。
これだけ見ると、原作は知らないがあくまでこの映画だけ見るとニノが『道』のジュリエッタ・マシーナのようなキャラクターにしか思えず、なんでこんな状態の人を周りの大人は何らケアすること放置しているんだと妄想性の義憤も芽生える。
回想内の小学生ニノが歌と男にしか興味が無いばっちりめかし込んだコケットさんってもうキツイじゃない、キャバ嬢か『タクシードライバー』のジョディ・フォスターみたいな立ち姿でとりあえず問題ないっていう制作判断キツイじゃない。
演出ならともかく。シナリオの流れから要請される画ならともかく。趣味趣向はともかくクレームの可能性とか考慮した形跡がないのがこわいよ。あんまり拡大して売る気もなさそうなのはもっとこわい。
こういう物申すポイントが全編に散りばめられているので間違い探しとして見るのが正しい可能性も否定できない。
隙あらば画面に割って入る江ノ電には笑わされた。地域振興系映画の姿勢として正しいのかもしれないがそれ対外的には引くだけだっつのアピールならねっつの。
安易なうえに意味もない猛虎弁オネェ言葉おんな言葉が乱れ飛ぶ台詞などはポリコレ時代の映画学校の教材にはちょうどよいはずだ。ダメな例として。
ところでストーリーは。幼少時のあれで常時マスク女子高生になった人が転校したきた高校で小学生時代の幼なじみとの別れの痛みを癒やしてくれてその後で離ればなれ音信不通状態になっていた(ややこしい)別のおとこのお友達とたまたま再会したらその人がなんとあのイノハリであったがイノハリはテレビとかに出るときも眼帯と口元包帯ぐらいで基本顔は出ているのに最後の最後までそうと気がつかないのはちょっと心配になるし常時マスク女子高生はネットで別れた幼なじみの名前も発見するのだがその別れた幼なじみというのは今やヒャダイン的な売れっ子アイドル楽曲提供者であり本人の名を冠したオーディションとか行われているぐらいだがいや逆になんで今まで気付かなかったの!
常時マスク女子高生がオーディションに参加したことにより心の準備の出来ていない幼なじみ動揺。コップかなんかぶつけてギターに傷を付けたら母親代わりの人が無言で常時マスク女子高生にそのギターをプレゼントした。意味不明なので以下略。
常時マスク女子高生に腹式呼吸を教えてバンドから捨てられるイノハリのボーカル真野恵里菜さんは良かったです。いや腹式呼吸ってなんだよ!?
【ママー!これ買ってー!】
Slipknot 10th Anniversary Edition [Explicit]
それもノイズじゃねぇじゃん。
↓その他のヤツ