《推定睡眠時間:0分》
予告編の高テンションに反して恒例度の高いジャッキー映画で考古学者のジャッキーが失われた秘宝を探して世界を股にえんやこら的なジャッキー版『インディー・ジョーンズ』だから『ファイナル・プロジェクト』とか『ライジング・ドラゴン』の流れに属する一本。
監督スタンリー・トン。じゃあやっぱ『ファイナル・プロジェクト』だし『ライジング・ドラゴン』じゃん! ヨガ要素は別にあんまりなかったです。
オープニングがすごかった。物語のバックボーンになる古代中印秘話みたいなのが描かれるが丸出し的な意味での『三国無双』的フルCG大合戦。象とか馬とか槍とかは当然として役者もCGなのでためらわない。トニー・ジャーの『トム・ヤム・クン』でもこういうの見たな。
以上は考古学者ジャッキーの不人気歴史講義の映像化という趣旨なのでそうかそういうものかと受け止めつつ流したが本筋の現代パートに入ってくると今度はカラコレがすごく塗り絵みたいに青なら青! 黄色なら黄色! もはや階調の概念とかない。
これはこれでヴァーチャル空間に見えてしまうが大丈夫なのか。イメージに合わせて現実の方を全面的に作り変えてしまうダイナミック・チャイナ演出大丈夫なのか。
なんか美男美女ばっかり出てくるし金の力でねじ伏せる感がすごい一帯一路ムービーに不安しかなかったがジャッキーがドバイに行ったらワイスピが始まってしまったから黙るしかない。
ドバイでワイスピ、インドでインディージョーンズ、崑崙山脈の氷洞でアンディ・ラウの『マジック・クリスタル』! 最後のは誉め言葉になってないかもしれないがしょうがないよあれマジクリだよ。なんかそういう映画だったよ!
動物もいっぱい出てくるがライオンとかラクダとかハイエナとかコヨーテとかヘビとか雑な大人が適当に考えた子供が喜びそうな要素感全開で心無くて震えるな。そういう映画だったよ!
つまりはジャッキー映画の香港回帰なのだった。すごいよ、始まり方もすごかったけど終わり方も香港的にすごかったよ。すごいところで終わったよ。いつもは映画は100分でも長い長いと文句言ってるけどこれに関してはあと30分ぐらいエピローグ付け足してもいいと思ったよ。
ラストバトルもすごかったよな。ラスボスのよくわかんねぇけど強いインド人(ソーヌー・スード)、氷洞バトルで見せたパンチの重さと体幹のブレなさに最近のジャッキー映画ではあまり見ないガチの強敵を感じて興奮したが、そいつとジャッキーがすごいところで闘うのだ!
すごいぞ! そうだななんていうか…ストⅡ! 背景がすごいなんかストⅡ! もうソーヌー・スードがベガにしか見えない!
ジャッキーとストⅡとか『シティーハンター』じゃないか! そんなところまで香港回帰か! それは回帰しなくてもよかったのではないか! とかなんとか考えてるうちにみんな踊りだして映画終わったから!
あとカンフーマスターのジャッキーとヨガマスターのソーヌー・スードが闘うっていう構図じゃないんだよねソーヌー・スードはヨガパワーを信じてない人だからなってじゃあなんでこのタイトルにしたんだ!
もう、もうよくわかんないけど面白かったよ! なにが起こっているのか概ねよくわからないが面白かったです!
おもむろに木人に向かうジャッキー、盗賊二世アーリフ・リーにカンフー指南するジャッキー、エロい美女に弱いジャッキーの姿にはちょっとだけ感動。
【ママー!これ買ってー!】
子供を騙す気がない子供騙しは香港ノワールよりも大人のノワールを醸し出す。
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