快眠映画感想『コーヒーが冷めないうちに』

《推定睡眠時間:60分超分》

時間を遡ることのできる不思議な座席のある喫茶店の映画ですがこれぐらい寝てしまうとコーヒーが冷めるどころかもう飲めないので捨てる。寝る前にコーヒー飲んどけばよかった。
でもたいへん気持ちのよい快眠でしたよ。隠れ家喫茶のアットホーム感とコーヒー&有村架純のトリプルリラックス効果が効きましたね。効き過ぎた。

それにしても設定の多い映画。もしかするとあの睡眠はリラックス効果ではなく設定の複雑さが招いた脳の熱暴走的なものだったのかもしれない。
なんとなくしない方がいい気がしたので公式サイトなどで確認などはしないが映画が始まると十行ぐらいに渡って文字で時間遡行の説明がされるがいや多いな。そんなに規則あったら覚えられないよ文字だし。
後から店員の有村架純が言葉で説明してくれるがそれにしてもそんなマニュアルじみた…まあ、嫌なら過去行くなという話だから文句も言えませんが。

時間遡行のルール1。特定の席に座って特定の店員(有村架純)が注いだコーヒーを飲まないと時間移動は起こらない。
時間遡行のルール2。行ける場所は喫茶店だけ、会える相手は喫茶店に来たことのある人だけ(すごい客の囲い込み術だ)
時間遡行のルール3。過去に戻って行動を変えても現在は変わらない。『ドラゴンボール』で言うところのトランクス状態。

時間遡行のルール4。過去に戻れるのは有村架純が注いだコーヒーが冷めるまで。冷める前にコーヒーを飲み干さないと現在に戻ってこれなくなる。
時間遡行のルール5。現在に戻ってこれなくなった人は誰にでも見えるゴーストとなってその席に取り憑き、毎日毎日その席で同じ行動を繰り返すようになる。

そして時間遡行のルール6。ゴーストがその席に座っている間は時間遡行ができず、ゴーストを動かそうとすると謎パワーで死にそうになるので、時間遡行をしたい人はゴーストがトイレに行っている間に事を行わなければなら…多いなぁ! やっぱ多いよ絶対多いよなぁ…! 注文の多い喫茶店だ。

多いしあと本当になんていうか展開のための設定って感じで別にSFじゃないので疑似科学的な説明とかを求めるわけではないけれどもそこはもっとこう、まとめられなかったのかよみたいな。

過去に戻って会えるのが喫茶店に来た人だけとかそのルールいる? って感じだ。コーヒー冷めるまでの時間で会える人間なんてどうせ店内かせいぜいその周囲100メートルぐらいにいる人間に限られるんだからそれわざわざ明文化しなくていいだろ。

ダメだなこの時間遡行ルール草案を書いたやつは。誰だ。マスターか。うわそう考えたらすげぇ面倒くせぇ常連のうるさい感じの店に思えてきたよ例のあの店じゃないですけどほら新宿ベ(以下略)

でも実際時間遡行のために店に訪れた女の人(波瑠)に常連の吉田羊がやさぐれ絡みしてたから第一印象は静かで上品な居心地のいい喫茶店だったがやっぱ面倒くさい店なんだろうな。
あるよね、こういうところ。あるよねっていうかいるよねこういう人。主に昼は喫茶で夜はスナックをやる2WAYタイプの喫茶店で。

ちなみにその吉田羊も過去に戻ったらしく、寝ていたから何があったかまったくわからないがなにか心中に変化があったようだ、ということがラストでわかる(そこは起きてた)
このラストがまた面倒くさい常連のいる店っぽさを強烈に醸し出す。過去に遡行した波瑠、松重豊、そして吉田羊がそれぞれカメラに向かって自分が時間遡行によっていかに変わったか語り出すのだ…。

「私はいつからか介護士として認知症の妻に接していました。でも過去に戻って、もう一度妻として見れるようになった。今は彼女といるだけで幸せなんだと思えるようになったんです」

以上は脳内補正済みのうろ覚え台詞なので実台詞とは異なるがだいたいこんな感じなのでなんかCMみたい。
吉田羊とかめっちゃ化粧品とか健康食品のCMで体験談を語りそうな顔してるからな…というのは偏見か。でも松重豊も結構その気があるとあると思うんですよ私は…。

寝ているのでそんなことしか書けない。そんなことしか書けないがふつう一時間以上寝たら何も感想とか出てこないので一時間以上寝ている人にそれだけ感想を書かせる映画というのもすごい。

すごいがそのすごいのニュアンスは行間からなんとなく汲み取ってほしい。このすごいが最大限発揮されていたのはネタバレになるから書きませんがなんかえーと登場人物の誰かが抱えたなにかしらの問題を時間SF的に解決するクライマックスで、寝てた俺が言うのもどうかと思うがそれはねぇだろとさすがに思うのである。

だって肝心なところでそのSF的論理を持ち出すならちゃんとSF的な説得力出しとかないと狡いっていうか…ダメじゃん。情緒SFとでも言えば聞こえはいいが(いいか?)悪く言えば単なるご都合主義じゃないかこれじゃあ。
いやつまり要するにですね想えば通じるみたいな展開になるんです。想えば通じるでOKなSF映画といったら『ある日どこかで』ぐらいなものなんですからその壁は相当高いぞ。納得の壁は。SFじゃねぇよファンタジーだよと言われたらまぁそうですが…。

だからやっぱドラえもんなんですよ、ドラえもん最強。映画ドラえもんの中の一本がこの映画と同じような時間SF的アイディアを極めてスマートに抜かりなく処理していたからみんな見ようドラえもん。原作書いた人と脚本書いた人もできれば見てくれ。
吉田羊が喫茶店の宣伝するなら俺もドラえもんの宣伝するからな。そういう気分になる映画ですた。

【ママー!これ買ってー!】


藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編 (1)

SF短編も読もう。『ノスタル爺』とか『ノスタル爺』とか。

↓原作


コーヒーが冷めないうちに

※続編のこの嘘がばれないうちにも原作にクレジットされていたからミックスされているらしい。

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