《推定睡眠時間:0分》
観る前も観た後も何度タイトルを頭に浮かべようとしても『モースト・デンジャラス・アイランド』に自動変換されてしまう。
それぐらいデンジャラスな映画だったと言いたいが別にそんなにデンジャラスじゃないっていうか全然デンジャラスじゃない。
なんか凄いと思ってしまった。この、なんていうか、思わせぶりなムードと粘り腰のサスペンス演出だけで70分ぐらい時間持ってって、残り10分で解決編に入る80分の映画ですけど、その解決編で姿を現すモーストにデンジャラスな恐怖の正体が心から下らなくて…本当にもうバカなんじゃねぇかと思いましたけど…その超絶バカバカしいストーリーを大真面目に見せきる演出力は。演出力とあと面の皮の厚さは。
その意味でなんだかとてもシャマラン的な映画。シャマランほどハッタリのテクニックが洗練されているわけではないのですが、本人のカメオ出演がデフォになってるシャマラン映画に倣ってか倣わずか『モースト・ビューティフル・アイランド』は監督アナ・アセンシオが主演も兼任。
シャマラニズムですがカメオ出演だから基本ムチャはしないシャマランと違ってアセンシオは自分で脚本に書いた主人公の入ってる風呂にゴキブリがボタボタ落ちてくる悪趣味なシーンを自分で演じてるわけだからえらい、生半可なシャマラニズムではなかった。
いやそんなところを評価してもという気もするがそんなところがすごいと言いたくなる程度には安いインディーズ映画だったから…。
ダメだどうにも歯切れが悪い。率直に言う。予算的にも内容的にも大いに貧乏なズッコケミステリーでした。
新宿ケイズシネマでやってる日本映画ぐらいのスケール感と言えば映画好きな人には伝わるだろうか。
主人公がビラ配りのバイトとかしながらマンハッタンで暮らすスペイン移民で、ちょっとアイス買うぐらいの金もないドン底の経済状況というのもなんとなくケイズシネマでやってる日本映画っぽい感じがある。
まあ貧乏な映画は貧乏に撮るべしというのもそれなりに映画の真理。画質の粗いDV映像が迫真の貧乏サスペンスを生んでいたし、アセンシオの華の無さもそれに拍車をかけていたように思う。
いや綺麗よ!? アセンシオ綺麗だと俺は思いますけどほらアメリカ映画ってバケモノみたいな美人が当たり前のように出てくるから…なんで擁護しているのかわからないが、ダメなところが多少あっても客として褒めて伸すスタイルを取りたくなるあたりもケイズシネマでやってる日本映画っぽい感じがある。なんなんだ。
貧乏地獄巡りの末に辿り着くささやかな幸せは泣けたナァ。本当にお金がないときはあぁいうことするよなっていうか、あの瞬間の主人公めっちゃ…いやとにかくネタがバレてしまうと台無しな映画なのでそれ以上はなにも書けないのですが、一点これはネタバレにはならないがなんかツボだったところを挙げると、チャイナタウンのいかがわしい店の店子か用心棒の横顔が完全に勝新太郎。
【ママー!これ買ってー!】
昨年のベストに挙げる人も多かった『フロリダ・プロジェクト』のショーン・ベイカー監督作で、貧困トランス二人組のかしまし小冒険をiPhoneで撮ったインディーズ映画。
優しくはないけれども出てくる人がわりと貧乏な二人に親切っていうのがよいところ。そのへん『モースト・ビューティフル・アイランド』も共通。
小さな心臓を鍛えるためにこの映画を見ようとしていたのですが、見る価値は、ない?
サスペンスフルな演出は良かったので、個人的にはそこそこ面白く見れました。怖い、というか辛い、って感じですかね。貧困生活の苦しさがよく出ていました。
なので見て損はないと思いますが、ただ予算は本当に少ない映画なので、ハリウッド映画みたいなのを期待すると肩透かし感が半端ないと思います…。
なるほど。ご丁寧に返信頂きありがとうございます。
偶然このブログに辿り着いたのですが、今後もちょくちょく覗きにきます。楽しみにしてます〜
どうもありがとうございます〜