廃墟こわい映画『コンジアム』感想文

《推定睡眠時間:0分》

コンジアム(昆池岩)精神病院というのはCNNが選ぶ世界7大心霊スポットの1つに選出された実在の廃墟だそうで、韓国北西部・京畿道広州市の昆池岩というところにあるらしい。正式名はなんとか神経病院。昆池岩精神病院というのは通称。

でその怖いところにネットで一山当てようぜ的な不謹慎な若者達がカメラ片手に潜入、白石晃士的ヤラセ込みのネット生配信を敢行するのだがそんなことをして怨霊たちが黙っているわけがない、軽薄な若造どもにシマを荒らされた怨霊たちは若造どもに霊界のしきたりを叩き込んでいくのであった。

マルチカメラのPOVホラーといった風で潜入メンバー7人くらい全員にアクションカム装着、建物内には要所要所に自動追尾型監視カメラを設置、建物外に設営されたベースキャンプ(手が込んでいる…)で配信ディレクターがそれらの映像をスイッチングしていくのでPOV的な視野狭窄とかほぼなし。『ブレア・ウィッチ』でも使われていたドローンカメラまで導入してしまう(あまり役に立ってないというのも同じ)

一応観客はその配信映像を見ているという体なので合間合間に繋ぎのアイキャッチが入る。ここで時間の省略。POVには性質上間延びしがちという難点があるので、それを回避するための面白い発想。ここまでくるとPOV系っていうか普通のホラー映画をPOV的に撮ったという感じがある。そもそもPOV謳ってないし。

配信番組スタッフと公募したらしい男女混合参加希望者の顔合わせからお話は始まるので最初の方とかほぼ合コン。まぁこいつらなら呪われても別にいいやっていうかむしろ呪われろと思えてくるが、いざお化けが本気出してくるとめっちゃ絶叫しまくり泣きまくるのでまぁそこまでにしてやんなよみたいな気になってくる。

よくできているということでしょうね。メリハリがついてるっていうか。潜入メンバーの一人のエロいお姉さんのアクションカム画面ではパックリ開いた胸元を見るべきか表情を見るべきかお化けの映り込みそうな背景を見るべきか迷ってしまうが、最終的にこのお姉さんが楳図かずおキャラみたいなすごい恐怖顔になって一番怖かった(また別に怖い顔になる人がいるがその人より怖かった)のでエロから恐怖への転換っぷりが見事であった。べつにエロい映画ではないのだが。

という撮影・編集の技巧的なところ以外は率直に言ってめちゃくちゃよくある心霊ドキュメンタリーみたいな感じなので取り立てて面白くなかったが、自分は安全なベースキャンプから指示を出すだけで現場には近づかない工藤Dだったら激怒な悪辣ディレクター(工藤Dは悪辣ではないのか)がついに立ち上がるあたりはやっぱり盛り上がる。

他のキャラもお化けのキャラも弱いので立ち上がったところで悪辣ディレクターの空回りみたいになってしまうのがもったいない気がしたが、まぁなんか怖かったからよかったんじゃないすかね。
おどろおどろしいムード系と見せかけて、結構『グレイブ・エンカウンターズ』みたいな絶叫系。

【ママー!これ買ってー!】


The FEAR (ザ・フィアー)

悪辣ディレクターの画面スイッチング見てたらこんなゲームあったなーってなってしまった。

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