老害は大変映画『バッドボーイズ フォー・ライフ』感想文
火薬量はまったくまったく物足りないが映像はかっこいいし安易な人死にには笑わされるしローレンスには和まされる、そしてスミスの若作りに泣かされたりもするたのしい映画だった。
アンチ・シネフィルなゆるふわ系にわか映画ブログ。
火薬量はまったくまったく物足りないが映像はかっこいいし安易な人死にには笑わされるしローレンスには和まされる、そしてスミスの若作りに泣かされたりもするたのしい映画だった。
先行上映だからかもしれないが本編前に監督ポン・ジュノ直々に「ネタバレしないでね」のメッセージを客に投げつける映像が入っていたのでここは作り手の意志を尊重して完全ネタバレなし仕様で感想。一言しか内容について書いてない。
今までのシリーズの完結編として落としどころはこれぐらいしかないよなぁっていう結末にちゃんと着地したんじゃないですか。着地のために面白さが犠牲になってたような気もしますけど、どうせどんな風に作っても叩かれるんだからこれでいいんだって思いますよ。ただ無臭。圧倒的に無臭。
マイケル・ベイのアクション映画なんてむずかしいところは一つもないはずなのに観終わって残るのは困惑ばかり。『アンパンマン』を読むつもりが気付いたら蛭子能収の漫画を読んでいたようなもの。謎が深い。
権力の寓話というには現実の側が寓話的虚構に寄りすぎている昨今ですが、ベルルスコーニ時代の虚実入り乱れる政治内幕劇であると同時に、あちらでもこちらでもあるある感のある、たいへん刺激的でおもしろい権力の寓話であったとおもう。
きったねぇ白タンクトップで汗まみれになりながら戦うマッケンジー・デイヴィスの女グラディエーターっぷりがあんまりに素晴らしいのでもう脇の匂いを嗅ぎたくて仕方がない。
豪快にしてインドなバカシーンの絨毯爆撃も見方を変えればそれなりに作り手の理屈というのも見えてくるのだからやはりわれわれはまだインド映画の奥深さを知らない。
ワンちゃんがいっぱい出てくるので見た目かわいいですが風刺は直球だしロイヤルコーギーズの権力闘争もえげつないしファミリー映画と油断してかかると殴られる。
ドヌーヴとビノシュの演技合戦に魅力を見出せなければ結構厳しい映画っぽい。ぼく厳しかったです。つまらなくはなかったけれど。
幾重にも織り込まれた皮肉と冷笑が黒い笑いを引き起こす人でなし映画だったがその底に流れるのは逆説的なヒューマニズム(かもしれない)ということでなかなか泣きの百合映画です。