オジーソン介護映画『バッド・デイ・ドライブ』感想文
良い意味でも悪い意味でも心に爪痕を一切残さないB級アクション映画ですが、老いたリーアム・ニーソンに負担をかけないよう細心の注意の払われた介護映画としての側面もあり、そのへんちょっと面白くなってしまう。
アンチ・シネフィルなゆるふわ系にわか映画ブログ。
良い意味でも悪い意味でも心に爪痕を一切残さないB級アクション映画ですが、老いたリーアム・ニーソンに負担をかけないよう細心の注意の払われた介護映画としての側面もあり、そのへんちょっと面白くなってしまう。
三池崇史のメジャー向け職人仕事ってことで、べた褒めする気にもなれないが、といって悪い映画でもないという映画であった。
万人に勧められるものではないが、この貧乏感にグッとくる人でかつ基本的に部屋の中でダラダラとおっさん二人が話しているだけの作劇に抵抗がなくシュールコントが好きで陰謀論とかムー系のネタにわくわくするという人ならば楽しめる映画ではないかと思う。
サバイバル映画っていうよりもお仕事映画。陽の当たらない現場労働者が自分の仕事をきっちりこなす映画というのは個人的にはとてもこうなんというかグッとくる。
これはあれだね賞味期限切れだ。食べられないわけじゃないけど、最高においしくいただける時期は過ぎてしまった映画だと思ったな。
ミステリとしてはボコボコに穴だらけなのだがフェミニズム映画として素人分析すると実に面白かった。
予告編から爆弾パニック映画と思わせておいての潜水艦乗りの男たちの因縁と友情みたいな、なんかそういう感じの潜水艦だけにウェットなサスペンスであったというこの残念な意外性。最近の韓国映画こういうの多いな。
田舎ホラーないしサスペンスとして面白い映画であることは確かだが、もしもこの映画を今の世界の分断を描いた優れた映画だと感じる映画批評家などがいるのなら、その人は少しだけでも田舎者の立場を想像してからもう一度この映画のことを考えてみた方がいいんじゃないだろうか。
ずいぶん意地悪な冷笑風刺喜劇だがこういう社会構造でこうなってるんだから個人個人が誰か別の個人を憎んだりなんかしてもどうしよもなかんめぇと諭すようなところもあった。
このアグレッシブなノリならモキュメンタリーにしないで普通に撮った方が面白かったのではと頭をかすめもするのだが、とはいえ楽しい映画でございました。