人間ビリーバー映画『虚空門 GATE』感想文(ネタバレなし)
予想の斜め上を行くこと甚だしい怪展開で斜め上を行ったと思ったらまた斜め上を行く、それからまたまた斜め上を行って更にそこからも斜め上を行く、気付いたらぐるっと一周して元の位置に戻ってきてしまった、みたいな映画でした。すごかったです。
アンチ・シネフィルなゆるふわ系にわか映画ブログ。
予想の斜め上を行くこと甚だしい怪展開で斜め上を行ったと思ったらまた斜め上を行く、それからまたまた斜め上を行って更にそこからも斜め上を行く、気付いたらぐるっと一周して元の位置に戻ってきてしまった、みたいな映画でした。すごかったです。
最初のダンスシーンが最高なのでホラーなのに後のホラー展開が全部グダグダの蛇足に見えてしまうという作りが物語に込められた教訓を体現している。
草!石!死体!ヴィンチェンゾ・ナタリ!スティーヴン・キング!ジョー・ヒル!諸星大二郎!そして星新一と『マタンゴ』!って感じの映画でした。おもしろかっったです。
説明の少ない作りなので寓話性高し、比喩多し、解釈自在。むずかしい映画では少しもないが観ながらあれこれ思考を遊ばせることができるという意味で、観る側のボーダーでガチガチの思考も越境させるボーダーレス映画だったように思う。おもしろかったです。
いや本当に良い映画だった。アングラ界隈の『この世界の片隅に』ではないかと思う。人の作品を挙げて褒める失礼もわかってはいるが思ってしまったので。
車移動感覚の星間移動、宇宙への畏怖を微塵も感じさせないスケール感のなさ、バカみたいにバタバタ死んでいく宇宙エリートたち…のB級感と反比例する四次元的な宇宙船造型や古代遺跡っぽい火星基地の美術のすばらしさ、無音多用の音遣いのおもしろさ。なんだこりゃとは思うがたのしかったです。
度々エル・キャピタンを訪れて登りたい欲を募らせていくオノルドさんの目は獲物を物色しながら昂ぶっていくシリアルキラーの目。映画を観る限りではオノルドさんとてーも平和なやさしい人のようだったが人間やっぱそれぐらいヤバイ人に近づかないと偉業は達成できないということだろう。
マンソンもの映画として観ると肩透かし感ありますがタランティーノの変態性が滲み出ていておもしろかったです。
つまらないならつまらないの一言で済むがつまらないわけではないからなかなか感想に困る。ピンク映画だったら良かったのにな~っていうところに落ち着いてしまうなこれは、個人的には。
スティーヴ・カレルの醸し出す狂気とユーモア混じりの痛み(決して逆ではない)、素晴らしかったな。玩具屋のおばさんとか異様に凝った室内装飾も同様。人も物もディティールがとてもよい映画。