新橋系ノワール映画『ストレイ・ドッグ』感想文
おいおいこんなことを2時間もかけてやってたのかよ~とは口が裂けても言えない睡眠鑑賞者であったが(言えないので書きました)、そんなショボイことに命を張る人間もおるんだよ的な路傍のノワール美学にはやはりシビれる。
アンチ・シネフィルなゆるふわ系にわか映画ブログ。
おいおいこんなことを2時間もかけてやってたのかよ~とは口が裂けても言えない睡眠鑑賞者であったが(言えないので書きました)、そんなショボイことに命を張る人間もおるんだよ的な路傍のノワール美学にはやはりシビれる。
『トレインスポッティング』以前も以後も作られ続ける野蛮で不毛で貧乏でアジテーショナルでかつ感傷的にスタイリッシュに捻くれた英国不良映画のザ・王道。場当たり的で安っぽいポストパンクなサントラがいーんです。
リアリズムのタッチで撮られているが全編モノクロなのでなんだかユーモラスな寓話感が出る。描かれる出来事は凄惨と言うほかないが…。
ぶっちゃけ最初は『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』ほどではないなと思ったんですが全話見終って反芻した結果、これはこれで『ヒルハウス』に並ぶくらいな傑作ドラマと手の平返し。いやぁ見事でしたよ今回も。
可愛いなぁオークワフィナ!面白いなぁオークワフィナ!オークワフィナ最高!毎日結婚したい!はい全然そんな映画じゃなかったですでも名作。
卑小な実相に煌びやかな映像で蓋をするのが良くも悪くもドラン映画であったから、この映画の即物性、取るに足らなさ、沁みたなぁ。
なんだか今風ではないコリアン・ノワール。荒削りで、理不尽で、残酷で、神話的で…明らかにバランスを欠いているが、まぁそういうものかと納得させてしまう力があってとてもよかった。
感傷的な社会派スケボー映画。とにかく問題だらけだけれども問題とちゃんと向き合えば解決できると信じるアメリカ的楽観主義に対して日本はどうだろうか、と、間接的に自分たちのことも考えさせられてしまう感じの映画でもあった。
こういう物語を気の利いた小品として演出するのも芝居の力で小品の枠を変形させてしまうのもあんまり観たことがないのでなんか地味にすごい映画だと思った。
人生は辛い。険しい。でもその中にほんの一滴ほんの一粒でも生きていてよかったなと思えることがあるかもしれない。映画『じゃじゃ丸くん』、人生そのものでした。