全力でPG映画『サイコ・ゴアマン』感想文
サイコでしかもゴアマンと来たらどう考えてもグチャドロ地獄絵図が繰り広げられる愉快な映画だろうとしか想像できないわけですが観てびっくりPG-12指定の名に恥じない家族みんなで楽しめる朗らか特撮ファミリーコメディ。
アンチ・シネフィルなゆるふわ系にわか映画ブログ。
サイコでしかもゴアマンと来たらどう考えてもグチャドロ地獄絵図が繰り広げられる愉快な映画だろうとしか想像できないわけですが観てびっくりPG-12指定の名に恥じない家族みんなで楽しめる朗らか特撮ファミリーコメディ。
映画ドラえもんで言ったら『ひみつ道具博物館』ポジションの異色作。よくできているとは思うが毎年感じるあの切なさが今回は一段と強かった。あぁ、もう昔のしんちゃん映画ではないんだなぁ…という。
牛の暴走っぷりもそれなりに迫力はあるが男たちが文明性に背を向けて牛を追っているうちに現出する神話的な光景の数々が強烈だった。
とくに文句のつけようがないぐらい完成された映画だと思うがこの映画が完成されているのは作者の思想とシナリオのフォーマットが一致しているからだと見えるので、思想が合わない人には合わないんじゃないだろうか。
前作がカートゥーン界の老舗ルーニー・テューンズで言うところのコヨーテ&ロードランナー回みたいなルール無用の殺人的ドタバタ編だとするなら今回はパロディと風刺とブラックユーモアとメタフィクションが激盛りのダフィー・ダック回。やりたい放題で最高。
こうまでバカスカとネタバレしろとか本気でツッコンでこいと言わんばかりの超展開で挑発されればそれは当然感想吐き出しの形で買うわけだが勝つためにはノーネタバレ、ノーツッコミで行くしかないでしょうが!
まじめに不真面目することさえできない無能詩人のかなしい映画だと思うのだが、世の中的にはあまりそうは受け取られていないらしく、そこがまたかなしい。
序盤はバリバリB級ノリでタガワのヒロユキ大活躍の旧『モータルコンバット』、そして終盤はフェイタリティの連続でサナダのヒロユキ大活躍の新『モータルコンバット』…そんな夢の映画版『モータルコンバット』があればなあ! というのを中学生的に妄想して楽しめますから面白い映画でした。
このあいだ見た別の映画の感想でぶっちゃけ娯楽映画の面白さとか基本予算の多寡だよとか暴言を吐いてしまいましたが『カンナチ』みたいな映画を観るとそうは言っても例外はありえるのだともしかしたらかなり間違ってるかもしれない方向への勇気をもらえます。
ゲームの精神でもってループ世界をオープンワールドに遊び倒す約100分間はジョークもアクションもミステリーも人間ドラマもフランク・グリロの首の切り落としも満載のゲーム世代のゲーム賛歌、と人生賛歌。良い映画!