住めば都とか嘘つけよ映画『ドリームランド』感想文
開拓のノスタルジーと夢の残骸を拾い集めて「近い将来からのたより」よろしく末端開拓民の痛みや衰退を詩的に表現した映画という感じかもしれない。
アンチ・シネフィルなゆるふわ系にわか映画ブログ。
開拓のノスタルジーと夢の残骸を拾い集めて「近い将来からのたより」よろしく末端開拓民の痛みや衰退を詩的に表現した映画という感じかもしれない。
監督とマックス・リヒターの目論見通りぐっすり眠ったので気持ちよかったがどんな内容だったかは基本的にわからないという斬新な映画である。
世の中を良い方向に変えるための理想や期待がかえって世の中を硬直させ人々の関係を悪化させがちな昨今であるし、この映画自体はそこまで話を広げないミニマムで私的な内容ではあるが、そこに込められたメッセージの射程は存外広かったように思う。
アクションもすごいしギャグも笑えるし残酷シーンは気持ち悪いのでおもしろいとおもいます観ろ。この作品とか監督はのちのちすごいことになると思うんでリアタイで観ておくと一生の想い出です、たぶん。
この監督はインタビューとかではすごい社会派っぽいことを言っているが本質的には初期トリアーとかギャスパー・ノエみたいに観客にショックを与えるための見世物性を映画作りの核にしてる人なんじゃないだろうか。
技巧的な長回しがすごいとかそういうことは言えるんですけどそれ以外でどこがどう面白いかというとなかなかピッタリはまる言葉が出てこない。でも超イイ映画。
現実を切り拓くために妄想は必要なのだとサン・ラーとこの映画は教えてくれる…と、とりあえず褒めたので言いますけどなんだよこの映画おもしろいとかおもしろくないとかそういうレベルの話じゃねぇだろ。
あんた大人なのに本当にこれでいいと思っているのかと言いたくなるが思っていると言われたら返す言葉がないのでこの監督、この映画は強い。強すぎる。敵わない。これはもうつまらないとしたら映画じゃなくてそう思う大人の方がつまらないということなのではないだろうか。
いわゆるひとつの『バグダッド・カフェ』もの。フィンランド旅行に激行きたくなって高級薬膳中華を激食いたくなる中高年向け雑誌の旅行特集みたいなミカ・カウリスマキ監督作。
あまりにも安いがあまりにも誠実なバラエティ人情喜劇っぷりにちょっとだけジーンとさせられる。