廃棄シナリオ夢の島

ドラマとか映画のシナリオコンクールの応募規定には大抵一度応募したシナリオの改訂再応募はできないと書いてある。俺のような底辺コンクーラーともなれば当然落選に落選を重ねてどこにも応募できなくなったシナリオというものが夢の島のように溜まっていくわけで、書いたはいいが誰の目にも留まらず何の役にも立たないシナリオの怨念がDドライブを汚染する羽目になるわけである。

これは供養せねばならん。というわけでPDF形式で投棄シナリオを公開、映像にもなってない公募シナリオを人に見せてどうなるものでもないのだが、作られた映画は人に観られなければならない(©柳下毅一郎)と言うし、書いてしまったシナリオもやはり人の目に触れられなければ成仏できないに違いない。

タイトルのリンクからPDFに飛ぶのでみんな読んでね☆ でもフリー素材とかじゃないのでパクったら生霊が行きます覚悟をしておけ。

『アスカとアキオの犬人伝説』

松竹版『八つ墓村』は全人類が好きなのでそういう感じのをやろうと思って過疎地域は怖いなぁ~っていう雰囲気とムーっぽい与太話を混ぜたミステリー/コメディ。2018年完成。400字詰め111枚。

城戸賞の二次を通過したやつの増補改訂版。一年ぐらいいじくり回していたのでそれなりに思い入れもある(しかしそのせいで段々わけがわからない展開になっていった)。なんなら自主で作りたいぐらいだが自主予算では内容的にかなり厳しく、とはいえDドライブ埋め立て地で死んでいてもらうのはあんまりな気もするので、どうにかならないかなぁと考え中。

本当は一話一時間ぐらいのシリーズものにして毎回主人公の二人が微妙な怪異をスルーしていくシュールなコメディの形にしたかった。美輪明宏が同時刻に別の場所でも目撃された謎を追う、とか。

『バイラルキラーズ』

ウーバーイーツでタワーマンションの配達に行くと特にコンシェルジュ付きのところなんかは防災センターで入館証をもらって業者搬入口に回らないといけなかったりするので入館がメチャクチャ面倒臭く、やたら時間が掛かるくせに距離移動はないので料金加算はないという理不尽な目に遭うが、そんな時になんとなく考えていた人殺しサスペンス/コメディ。2019年完成。400字詰め120枚。

これはとにかくどこに送っても一次落ちだった。あちこち送りつけてりゃどっかで一次ぐらいは通るだろと思っていたが読みが甘く、理由はだいたいわかっているのだが主人公らしい主人公を置かない群像劇だからで、あと付け加えるとすればウーバーイーツ配達員っぽい人が配達先で首を狩ってバッグに生首を入れて持ち帰る場面があったりするから。そういうのは求めてないんだよシナリオコンクールはッ!

でもこれも何年も書き直したりして怨念度は高いからなー。もうちょっと軸を明確にして再構成すればアイディア自体はまだ使えるんじゃないの? っていう気もするのですが、まぁ暗澹ムードで人を殺していくやつとかは巧拙関係なくやっぱシナコン通らないですよ。主人公のキャラが立っていて、明確なドラマがあって、やたらと暗かったりしないで(これでも無理矢理明るいラストに変えたので本来はずっと救いがなかったのだ)、あと血が飛び散ったりしない。そういうものを書きたくなる気持ちも分かりますが、そんなものはシナコンに送らないで自分のDドライブに秘めておくか、もしくは自主で撮ってしまおう。

『いつかタバコをやめようと思う、でもそれは今日じゃない』

20枚シナリオ(400字詰めでは10枚)っていうのを募集している新井一賞に送ったもの。このコンクールはテーマがあって2020年は「台詞は嘘つき」だったので、一応そういうつもり。この文章を書いてる2020年9月28日の時点ではまだ結果がでていないが、発表が10月14日とのことなので連絡が来ていないということは落選なのだと判断して放出。どうせ10枚シナリオなんて他に送るアテもありませんしね。2020年完成。400字詰め10枚。

初めて書いた10枚シナリオにしては悪くない出来じゃないかとそれなりに満足していたが、ためしに知り合いに見せたら意図がまったく伝わってなかったのでこれじゃ全然なんだなと思ったりした。読み返してみれば確かに台詞が足らない。テーマであるところの「台詞が嘘つき」が表現できていないので、もうひとつふたつ主人公の台詞を短くてもいいから入れるべきだったが、ページ数ギチギチで入れる余裕なし。10枚の難しさを痛感した。ちなみに元ネタは江東マンション神隠し殺人事件です。

『コンビニ《ヘイト》』

今は亡くなってしまったっぽいが新人監督映画祭、俺だけの通称・中野映画祭というのが以前やってて、これは自主映画の上映会&コンペに地下アイドルのステージとか特撮映画のプレミアとかくっつけた結構な規模の映画祭だったんですが、シナリオ公募もあったその第一回に応募して入選したもの。審査員長のコメントは「自主映画部門に比べてシナリオ部門は…」と苦いものだったのでなんだか誇らしくない結果である。2015年完成。400字詰め63枚。

嫌な過去は忘れたい性格なのでパソコンを買い換えた時に移行しないで葬ったつもりだったが先日USBメモリーから発掘、たいへん久しぶりに読んでみるとこれでは感傷的に過ぎるしなんて平板でつまらない展開なんだと呆れつつ今の自分とやってることの変わらなさに絶望したが、クレーマーの厭さは戯画化されているとはいえ比較的よく書けているんじゃないかと自画自賛。これを書いていた頃は俺もコンビニ夜勤でわけわからん絡み方をしてくる超絶クレーマーに土下座したりして辛酸を嘗めていたので当たり前である。その意味では公募用シナリオというよりも一種のセルフセラピーであろう…。

ちなみに、審査員長には「オチがねぇ…」と個別コメントをもらったので、バトル展開をもう少しポップに盛り上げつつオチを明るくして書き直したバージョンもある。

『トレーディング家族ゲーム』

たしか朝日新人シナリオ大賞に出したものだと思うが、とにかく大慌てで締め切りに間に合わせたので後半のヤケクソっぷりがすごい、カードゲームとオカルト秘密結社を混ぜた厨二的脱力ミステリーのつもりで書いているので最後に探偵役が出てきて謎解きをするのだが、そいつが400字詰めで10枚分ぐらい一人で話す! いくらなんでも、とはさすがに思ったものの、もう書いちゃったしなぁっていう貧民精神に負けて応募、ちゃんと一次で落ちた。2019年完成。400字詰め129枚。129枚て。

でも廃棄シナリオとはいいつつ事件の真相というか悪者の目的が馬鹿馬鹿しくて好きなのでなんとかシェイプアップしたらちゃんと面白いシナリオになるんじゃないかとは一応思っている。発想はそう悪くないと思うんですよ発想は。カードゲーム題材のドラマとか映画というのは少ないからオリジナリティもあるし…ただそのカードゲームがオカルト儀式に使われる物語の都合上、既存のものは使えないから新しいカードゲームを自分で作ってシナリオの中で一からどういうゲームかっていうのを説明したりしているので、どんどん説明が長くなり、ページ数も多くなり、収拾がつかなくなり…みたいな。まぁ、詰め込みすぎてはいけないという格好の素人教材にはなりましたが。

『ザ・レジェンド・オブ・ドラゴンスラッシャーマフィア』

ブルース・リーの映画なんか大して興味もなかったがリバイバル上映やってたので何本か観に行ったらアクションが超面白いし基本的にヘボいストーリーも溜飲が下がる感じで全然良かったしなによりブルース・リーが強くてダサくてかっこよくて大興奮。やっぱそういうのが映画だよなと盛り上がってしまったのでその勢いで書いたもの。2020年完成。400字詰め換算102枚。

カンフーマスターとスラッシャー殺人鬼が戦ったら面白いし巻き添えで反グレの人をたくさん倒したら楽しいじゃんっていう素朴な自主映画的発想が微笑ましくてよいが脚本賞に出すものではないだろと今になって読み返すと思う。自主映画的発想とは言ってもかなり娯楽映画らしさを意識して書いているが、俺の場合は娯楽っぽいものを意識すればするほど成果が出ないので、これも城戸賞の一次すら通らなかった。お話とか台詞がおもしろいものではないのでとくに手を加えてマシになるところもなく、このまま成仏してもらおう。

※と言いつつ直したら多少良くなりそうなところが見つかったので上リンクはそこを直した新版、旧版はこっちの方に置いときます。

『崩壊のスタンダール』

『約束のネバーランド』とかいう漫画もヒットしたみたいだしジブリ方式で『漢字+の+カタカナ』のタイトルにしたらそれっぽくなるだろという安直な発想に基づくタイトルからしてヒドいがなぜか新人シナリオコンクールの最終選考に残った。400字詰め99枚。たしか上限100枚とかだった気がするのでギリに詰め込んだんだと思う。

毎年チェックしてるわけじゃないからなんとも言えないがこの年はなかなか良い感じの応募作がなかったようで、思うにこれはファンタジーだから普通はそんなのあんま送んない(人間ドラマを書く)中でプロットが目立ってとりあえず的な枠で入ったんだろう。およそ一年ぶりに読み直すとまぁヒドくて赤面する。クソみたいなところは多々あるが台詞は下手の自覚があるのでどうしようもないとしても構成は絶対にもっといじれた。三つのパートが並行して進むがやたらごちゃごちゃしているだけで有機的な結びつきを欠いて物語の歯車が回らない。これは致命的。

飛躍しているわりにはその設定を生かしきれていない箇所も相当あってダメなのだが、ただシーン単位ではそれなりに面白いところもある。これは元々バカな小学生にもわかるプロットにして、でも客の目を引く変なアイディアもちゃんとたくさん入れて個性を出して、今の客はエモがとにかく大好きなのでちゃんとエモっぽいのも入れて…というつもりで書いたので、結果的にゴミになったがその試行錯誤は無駄ではなかったとは思ってる(思いたい)

『誘拐のフーガ』

フジヤング二次選考通過のやつ。このちょっと前に『藁にもすがる獣たち』という日本のミステリー小説が原作らしい韓国映画を観て、それはまぁまぁ面白いぐらいでそこまでの感じではなかったのだが、この映画はパズル的な構成が特徴的で、そういえば最近はプロットよりも時系列をいじった構成で見せる(誤魔化すとも言う)映画が多いからじゃあ構成だけで作ってみるか…みたいな感じでお試し的に書いた。そのわりには保険金殺人のネタまで被っているがまぁでも保険金殺人はオリジナルなネタでは全然ないしトータルでは完全別物だから…と弁解しておく。400字詰め58枚くらい。

読み返すとこれも台詞が本当にヒドいのだが多少言い訳をするとテレビドラマの台詞なんかヒドいのばかりなので、なんだよそれ底辺コンクーラーのやっかみじゃねぇか! と思われるかもしれないが…でも俺の理想の台詞は押井守の長広舌かもしくはサイレント映画の沈黙だし、テレビドラマの台詞回しなんか一般的に巧いとされるものでもダサいなぁと思うところはあるんですよやっぱり。いちいち喋りすぎなんだよとか。ということでこんな説明台詞とか心情吐露台詞は嫌だなぁと思いながらもでも台詞に書かないと視聴者に伝わらないしという感じで、自分の中でなかなか折り合いがつけられなかった結果このヒドい台詞になってる。

ほかのところでいえば構成は人真似なのでそんなに悪くない。展開はだいぶ強引だがこれぐらいの強引さなら逆に面白さになるだろう別にドキュメンタリーじゃないしと自画自賛。でもディティールの甘さ、とくに後半20ページぐらいの甘さはなかなか深刻。いつもどおり締め切りギリギリだったので詰められなかった。毎回反省はするものの一向に改善される気配がない(ここらへんが賞を取れる人と取れない人の分かれ目だったりするんだろう)

『我が月神に祈れ』

新人シナリオコンクール一次通過。コロナ禍でオウムの本をやたら読んでいたのでオウムとかニューエイジとかを絡めたのをやろうと思い、相変わらず海外ドラマが世の中に大人気なので海外ドラマっぽいノリというか勢いなりどんでん返しなりを意識して、フェイク情報とかIR招致レースとか色々混ぜて先読みができない感じにした。2021年完成。400字詰め118枚。

これは結構ガックリ来たなぁ。面白いと思うんだけどなぁ。問題点を自分なりに洗い出すとまぁ良く言われることですけど主人公が能動的に行動しない、感情移入できない、プロットが不明瞭…とかそんなんですかね。でもそんなこと言ったら『仁義なき戦い』だって感情移入はできないしプロットは不明瞭だし主人公だって大抵状況に流されてばかりだしそれでも充分面白いじゃないですか…とは思うが結果が全てだしだいたいそこがダメで落ちたのでもないかもしれない。心情描写が足りないとか人物の掘り下げが浅いとか。それに関しても異論は大いにあるが、まぁしょうがないっすね。ただこれは形を変えて別の企画コンペとかには出そうと思う。

『ゲーム極道』

橋田賞に出したもの。橋田賞は途中審査を公表しないのでどの程度進んでくれたのかは不明だが、ただまぁ入選も何もなかったので成果的にはゼロ、どこまで進んでようが進んでまいが関係ない。400字詰め60枚くらい。2021年完成。

橋田賞は保守的な傾向が強いと思ったので保守的でありつつ現代っぽい要素も入れつつちょっとした意外性も入れつつ…とそれなりに考えた結果かなり凡庸な仕上がりに。視聴者がテレビドラマに求めるものなんてどうせ凡庸さじゃないかと俺の中のえなりかずきが反論しているが、新人でこの程度のアイディアしか出せないならさっさと諦めろとでも言われれば(言われてないが)ちょっとだけ頷けるのは確か。まぁ凡庸は凡庸なんですがまとまりはそう悪くないんでそこそこ面白く読めるような気はするんですけどねぇ。脚本賞って難しいっすね。

『ヴェイパーフィクション/ハイパースティション』

講談社がやってる漫画脚本大賞に応募したやつ。ここも途中審査は公表しないのでどこまで進んでくれたのかは分からないが、まぁ結果を見ればこちらも箸にも棒にも引っかかりませんでした。連載の第一話目の脚本の体で400字詰め27枚くらい。

これも比較的よくまとまってるんじゃないかと思うんですがいかんせん直感的に伝わる斬新なアイディアがない。認識の食い違いが超能力を生むっていう設定なので、動き出してしまえば色々面白いシチュエーションは作れると思うんですけど、それを一話の段階で提示できなかったということでしょう。もっと強いプロットが必要だなぁと思いました。漫画原作にしてもドラマとか映画の脚本にしても。

『ニューノーマル、ニューオーダー、ニュークリア&ニューエイジ』

TSUTAYAクリエイターズプログラムに応募して一次選考も通らなかったやつ。400字詰め88枚くらい。2022年完成。TSUTAYAクリエイターズプログラム、なんか2022年で終わりかどうかは知らないけど休止になったっぽいよ。良い映画ばっか排出してたんだけどなあそこ。

読み返せばまぁダメだった理由はわかる。ちょっと自分が楽しくなれるものを見る人のこととか作る人のことを考えずに書きすぎたと思う。しかしそれにも俺なりの理由というか言い訳があり、TSUTAYAクリエイターズプログラムの受賞作は作家性強めな作品が多かったので、あえて個性強めに書いた方が通りやすいだろうと思ったのだ。一応コロナ禍のストレスとか不安を寓話の形で表現したつもりではあるのでまぁほらなんていうか時事ネタ入ってるしそこまで独りよがりな感じにはなってない…よね? みたいな。なってたみたいですが。

しかしどうせ一次も通らないんだったら新人シナリオコンクールの方送ればよかったな。この年けっこうこの脚本に熱中してたので他の応募作が書けなくて新人シナリオコンクールは応募できなかった。今年(※2023年)の応募分に回すという怠惰な手もあるがこれは内容的にウクライナ戦争が始まってコロナ陰謀論が蔓延ってた去年だったから面白い内容だと思うのでもう賞味期限切れですね。というわけでここで供養しよう。読んでくれる酔狂な人は2022年の夏を思い出しながら読むと多少は面白く読めると思います。ちなみにTSUTAYAクリエイターズプログラムは企画書の提出が求められるので、そこに書いた作品のセールスポイントは「日本版ミッドサマー!」とかでした。

『家族、バズる』

創作ドラマ大賞というのに応募してたぶんこれは一次選考も通らなかったんじゃないだろうか。400字詰め55枚くらい。2023年6月完成。

去年のことなのになんかあまり覚えてないがこの頃オーバーツーリズムがどうのみたいなニュースがあって、それで街を歩いてたりするとそこに住んでる俺みたいな人からしたら普通の光景(渋谷のスクランブル交差点とか)で外国人観光客の人が記念写真とか撮ってるのとか見て、だったら日本の冴えないどこにでもいるような家族の家がネットでバズって観光名所化したら面白いなということで書いたもの。それでそこに、なんかドイツの極右とかが日本は外国人が少ない理想的な国だみたいな明らかに間違った眼差しを向けているとかいないとかみたいな話もネットで読んだのを思い出して付け加えて、それまでは普通の家族だった人たちが日本に保守的価値観を求める観光客から金を巻き上げようとして保守のパロディみたいなのを演じてるうちに、どんどん壊れてくみたいな…結構社会派だな!

そういう喜劇的な状況を通してツイッター炎上でどんどん壊れていくインフルエンサーを風刺するみたいな意図もあったんですよ一応。だからバズるというタイトルで、人間はツイッターでバズるとどんな風にぶっ壊れていくかっていうのが裏テーマとしてあったりと、ネタとしては悪くないんじゃないかなぁとは思ったりもするのですが、でもまぁ一次選考も通んなかったっていうのは全然ダメっていうことなんだろう。

『蜘蛛の網、鼠の穴』

『家族、バズる』の少し前に書いた同じネット炎上テーマのもの。こちらはフジヤングのたしか二次選考は通過して三次で落ちたはず。2023年3月末完成。400時詰め60枚ぐらい。

タイトルは落語の「鼠穴」から。本文にも書いているがこの演目はいわゆる夢オチで後半の怒濤の不幸展開は全部夢なのに、そもそもなんでそんな悪夢を見るんだみたいな感じで妙に嫌な後味が残る演目だと思っていて、そのスッキリしなさをネット炎上被害者のスッキリしなさ、一応問題は解決したはずなのに悪の所在がどこにあるのかわからずなんとも晴れ晴れしない、というネット炎上被害および鎮火の顛末と重ねた。これは翌年が俺がフジヤングに応募できるラスト年なので、まぁまぁ評価されそうな線を狙って書いたものの、冴えない結果になったというわけです。

『その日、世界でもっとも何もせず、世界でもっとも多くの人を救った女

2024年のフジヤングシナリオ一次通過せず、創作ドラマ大賞でも一次通過せず。完全にダメだったやつ。400字詰め55枚くらい。

でまぁこれがその年齢的にフジヤングに応募できる最後の年のやつだったんで、じゃあもう賞狙いとかじゃなくて自分の書きたい展開とか書きたいテーマをあくまでも予算的に無理のない範囲で、と書いたらまぁ完敗でした。それというのは「主人公が能動的に行動しない」「主人公の成長が(明示的には)描かれない」というもので、主人公が徹底的に何もしないことで世界を救うという内容。行動すれば良いってもんじゃないというのが俺の人生哲学なわけですが、そんなもんは世間様には通用しないわけです。

『世界の終りはただそこに』

受賞脚本には制作費として短編50万長編100万の制作費が与えられてそのお金で映画を作って出品するっていう伊参映画祭の自主映画脚本コンペの短編部門に応募して一次選考通らずのもの。2024年5月ごろ完成、400字詰め15枚くらい。

コワイ映画が作りたかったんですけどお金は予算50万だとかけられないのでお金を掛けずにどうコワイものを表現するか考えて、たとえばひとけのない夜道に何もしないでずっと突っ立ってるだけの人がいたらかなりコワイなと思い、そこから世間が恐れているのは「止まる人」なのではないかと考えて、次々と動かなくなる人が増殖して世界が崩壊に向かっていくという結構スケールのでかい黒沢清風の終末ものに。自分では気に入っていて予算の都合が付けば撮りたいんですが、脚本公募作としてはまぁ、主人公が能動的に行動しない、主人公の成長が描かれない、最後はバッドエンドということで…そういうのはやっぱ自主映画コンペでもダメなんですなぁ。

(ほか、順次追加予定)

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